偶然か必然か【相澤消太】 (ページ29)

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＊相澤Side９ページ29

俺たちは急いで現場に向かい、敵の確保を最優先で動いた。
好き勝手暴れまくっている敵を二人で協力して拘束する。

ヒーローとしてのブラッドを目にするのは初めてだった。
いつものような子供っぽい顔とは反対の、真剣で一気に大人びた顔をしていた。
状況判断も早く、高校時代の”士傑の伝説問題児”のあいつはもうどこにもいなかった。

敵を拘束し、警察を待っているといつの間にかあいつはいなくなっていた。
探そうとしても今この場を離れるわけにもいかず、警察に引き渡しながら状況を話していると

「引き渡し、終わりました？」

どこいってた、と聞こうと思い声のする方へ目をやると変わり果てたあいつがいた。

擦り傷だらけの足。膝くらいまであったスカートがビリビリと破れたのか破ったのかわからんが、際どい短さになっている。
後ろで同じ柄の生地を手につけた男の子が「ありがとー！！」と手をふっているのを見る限り後者だな。
こいつほんと、ヒーローである前に女であることをもっと認識しろよ。

「お前なぁ。すみません。あと頼みます。おい、ブラッド。お前はこっちこい。」

警察に伝えるべきことはもう伝え終わっていたので、後処理をまかせてこの場を去ることにした。
こんな人が多いところでこんな格好、、、上着でもありゃよかったが生憎の真夏。
隠すもんなにもねーな。こいつほっといたらこのまま帰るだろうし。はぁ、、

なるべく人通りの少ない道を選んで家へと向かう。
エントランスで俺の家であることを伝えると、明らかに動揺してあたふたしていた。
いつもなら、変なこと考えてんだろうな、と面白がっていただろうが今の俺はそんな気分にはなれず誤解を解いてさっさと上がるように言う。

いつもは人が来ることもない俺の部屋に、こいつがいる。
自分で連れてきといてなんだが、違和感しかないな。
そんなことを思いながら、ソファーに座らせて救急箱と服を取りあいつの元へと戻る。

座ると丈がより短くなっているように感じて、上に持ってきた服を乗せて治療？と言えるほどでもないが応急処置を始める。
痛い！！と怒ってきたのでちょっとした悪戯心で少し強めに消毒をすると顔を膨らませて怒っていた。
その時には、敵の一件もあり店の前で言われたあの話は頭から消えてしまっていた。
それもあっていつも通りの態度でこいつと話していた。

急に、楽しそうな顔から雰囲気が変わりため息をつく。