グラサン野郎の息抜き5 ページ22
NO視点
『えっと…賢治くん？』
力なく机に項垂れる賢治に心配そうに声をかけるA。
『もしかしてお腹空いてる？』
Aが気がついたのはまぐれでは無い。賢治の口からは確実に「ご飯、牛…牛丼、卵、親子丼」と何かの呪文のように食べ物の名前が流れ出てきていた。
そしてAは社内を見渡す。国木田や谷崎がいたたまれないと言わんばかりに目を逸らした。Aは状況を理解したようだ。
『あー、食べ盛りなのに異能のせいで食べれないのね。此れからお仕事？』
賢治は身体に残った僅かな力を絞り出すようにして「…ぅ」と細い声を出し、ガバッと机から顔を起こした。
「はい。この後お仕事があるんです…」
今度は椅子の背もたれに力無くもたれかかった。
『ほほぅ…なら僕がお仕事変わろうか。走り回るは嫌い。でも書類作業はもっと嫌い。』
「そんな、悪いですよ。」
『安心しなさい。僕はこう見えて君の先輩なんだよ？』
ふふんと胸を張って『だからマカセロリ』と付け加えた。
賢治は申し訳なさそうに眉を八の字にするとオズオズと仕事の書類を出した。
「今回は国木田さんと一緒なのでAさんでも何とかなると思います。本当に助かりました。空腹で骨と皮だけになるところでした。」
とにこやかに賢治は感謝の意を伝えた。
え、僕“でも”なんとかなる…？
後輩の思わぬ発言にAの脳内は宇宙猫状態だっただろう。
__
「賢治、コレも食べるかイ？」
「賢治くん、今度一緒に焼肉行こうね…」
喫茶店うずまきでは美味しそうに食べ物を頬張る賢治が居た。その向かいにはベタベタに甘やかす与謝野と、流石に可哀想に思い焼肉に誘う中島の姿があった。
__
『ちょっと国木田！なんで車が飛んでくるのさ！』
一方のAは賢治の代わりに受けた仕事に四苦八苦していた。
「だから賢治が来るはずだったんだ」
国木田はいつもの眼鏡をクイッと上げながら言った。
『帰っていい？』
「いいわけなかろう。」
『もういいや。国木田、ダイナマイト出して。』
敵の追撃から身を隠せる壁に背をつけながらクイクイと手で催促する。
「手榴弾で勘弁してくれ」
『言っとくけど僕にはコレくらいの任務ちょちょいのちょいだから！』
少々涙目になりながら訴えるA。
国木田は「なぜ入社試験は無事パスすることが出来たんだか…」と深いため息をついた。
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三原色 - 。さん» なななんと！ありがとうございます！これからも何となくで頑張って参りますので何卒…生暖かい目でよろしくお願い致します！ (7月1日 17時) (
レス) @page10 id: 3ea33a02c4 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね！応援してます (7月1日 11時) (レス) @page10 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三原色 | 作成日時：2023年5月31日 21時
