【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ44)

今日:27 hit、昨日:6 hit、合計:693 hit

□ ページ44

'

『……ポーチドエッグ。』

6時40分。

本当に寮母さんが自室にご飯を持ってきてくれた。

俺が取ってきた卵は、卵焼きでも目玉焼きでも、スクランブルエッグでもなくまさかのポーチドエッグ。

エッグベネディクトとかいう料理だ。

前世とマジで同じ食文化だな……………俺エッグベネディクト食べたことないけど。

ナイフとフォークを使って卵を割りながら恐る恐る口に運ぶと、本当に寮母さんを屋敷で雇いたくなった。

和食も作れるし洋食も作れるしなんだあの人マジで。

一緒についてたコンソメスープを飲んで、サラダも口に運ぶ。

青じそドレッシングの次はシーザーサラダときた。

寮母さんをこの寮に配置してくれた父親に感謝しながら、1口ずつゆっくり朝ごはんを食べた。

丁度食べ終わった頃、ノックが聞こえた。

「入るよー！」

「Aちゃん、食べれた？」

『はい、美味しかったです。』

「良かった！久しぶりに作ったからちょっと不安だったのよ〜！」

食器を下げながら、「そういえば、朝の要望、ってなぁに？」と聞いてきた。

『………朝ご飯と夜ご飯……すごい手間がかかると思うんですけど、俺だけ自室で食べさせて欲しいんです。』

「……それは、みんなと食べるのが嫌だから？それとも、いじめられているから？」

『……こんなに美味しいご飯があるのに、不吉な人と食べるなんて、みんな嫌がるでしょう？』

せっかく楽しい食事時間を、俺一人なんかで気まずい空間にしたくない。

寮母さんは困った顔をして考え込んだ。

しばらくすると、観念したかのように「分かったわ」と了承してくれた。

「ただし！必ずご飯は取りに来てね！お盆もちゃんと台所に置きに来ること！お部屋にそのまんまにしたら承知しないよ！」

『分かってます、ありがとうございます。』

「それと、」

「みんなと食べたくなったら、いつでも言ってね。」

そう言い、お盆を持って部屋を出てしまった。

感謝と申し訳なさが同時に押し寄せてきた。

嗚呼、顔を洗い直して歯磨きをしなくては。

俺はまた、目を擦った。