醜い私とその他もろもろII

こぼれだす気持ち ページ43

届かない…

願いだった。


何度願っても、祈っても、無理だとおもってた。

そして、なにより


認めたくなかった。


その願いが叶うことを、

認めることができなかった



はずなのに…



だから、涙が溢れたことも、声が震えることも、嗚咽が漏れることも、ない。



はずなのに…





A「……うっうっ…」



こんなにも、

こんなにも、


……嬉しくて、幸せだ。




元々クシャクシャだった手紙を抱きしめて涙を流す。

今まで認めなかった。認めたくなかった。


大きな大きな感情を

吐き出す




A「寂しい……1人は寂しいよ……」




……


…




…







…




その部屋の、空気が嫌だった。

音も、匂いも、全部全部、それはきっと


その中に、あなたがいたから…




タッタッタ




ゆっくりと、でも確実に前に進む足、

でも、そんな簡単なことじゃない、簡単に前になんか進めない。

病室の前で足は止まって

扉に手をかけるのが怖くなる


その度に彼女の手紙を、思い出す



私なんかの言葉に救われたと、言ってくれる人がいる

私なんかを《ヒーロー》だと言ってくれる人がいる




そう思うと勇気が

ほんの少しだけど、勇気が湧いてくる



私は馬鹿で汚くて醜いから

こんな簡単な答えに辿り着かなかった




あの子は今笑えているだろうか


あの子は今元気だろうか




そんな当たり前のことを心配する余裕もなくなっていた


自分のことばかりで、変わりたいって、あの子みたいになりたいってそう願って

でも、怖くて

恨まれたら、嫌われたら、拒否されたら


怖くて怖くて

あの子から逃げた。今も、逃げたくて仕方がない。





貴方の病室に行くのが嫌だった


貴方が死んでたら私も死ねてたのにって思ってた







けど、けどね、


わたし、


わたしね、





貴方が、…


蓮が……死んでほしいなんて






思ったことないんだよ





だって、


だって、



いつだって…


私の生きる支え

蓮だった






貴方が生きてて、目覚めて、

本当に、心の底から嬉しかった





1人じゃないって、実感できた




安心、したの。




だから、

だからね、





ガラッ



……


…



蓮said


ガラッ


蓮「………姉…さん？」



扉を勢いよく開けて、そこに立っていたのは3年前より少し大人に見える姉だった。



A「……ふー…」


蓮「…？？？」



なぜか扉の前で深呼吸をする姉、




蓮「姉さん？」

A「……蓮…その」

蓮「………」

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