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背中 ページ29




A「……遊真。その…」


米屋先輩と夏目さんが去ったあと

遊真はAに背を向け、その場にしゃがむ



A「…えっ?遊真?」

遊真「乗って、その様子じゃ走るのは無理だろ」


どうやら私を背負ってくれる気らしいが

千佳ちゃんを探すのにわざわざ背負ってもらっていたら時間も労力も消費してしまう


A「いい。大丈夫だから、はやく行こう」

遊真「背負った方がはやい」

A「…だいじょ」

遊真「いいから」


そう言って手首を引っ張られると簡単に脚から力が抜けてカクンと地面に倒れかけ、遊真に支えられる


A「…っ」

遊真「ほら、もう1人じゃ歩けないくらい消耗してる」

A「………でも…三雲くんに…レプリカに…」


頼まれたの…

後の事を任されたの…

もう…



何も出来ない…無力な私じゃない…

だから…



遊真「今のAほっとくのは心配だし、休んどけって言ってもどうせチカ探そうとするだろうし。だから、」


と、再度Aの前にしゃがむ


遊真「乗って……チカを探しに行こう。」

A「……ごめん。ありがとう遊真…」


これ以上時間をかけるわけにもいかないため、渋々、遊真の首に腕を回すA


遊真「よっ…と、じゃ、急ぐか」


遊真は軽々とAを背負ったまま立ち上がり走り出す


A「えっ?わっ」


想像以上に早くて一瞬生身のはずの遊真に驚くが、

すぐに彼が普段からトリオン体であることを思い出して納得する



A(……やっぱり…冷たいな)


遊真の背中はトリオン体特有の冷たさが有り、少し悲しくなる



なんで……こんなにいい子がいつ死ぬかわからない体で…

私が………生きているんだろう…………



……






それに……私はまだ

遊真に伝えなきゃいけないことがある…





A「……遊真、あの」

遊真「……レプリカのこと?」


案外アッサリと歯切れの悪いAに返答する遊真


A「あっ…うん」

遊真「……アイツはやっぱりすごいな」

A「えっ?」

遊真「俺の頼みに全力で答えてくれた」

A「…ウン」




そう言って遊真はまた走るスピードを上げる

涙を流すわけでもなく


ただ誇らしげに前を向く




そんな彼に


今だけ、

この冷たい背中が少しでも私の体温で温まってくれたら…


そう願った…



……





ガラッ



遊真「…これがチカか」



A「千佳ちゃん」

遊真「……オサムの奴、良く頑張ったな。」

A「うん。」



Aはトリオンキューブとなった千佳を抱き締める

強く…強く……


存在を確かめるように…

トラウマ→←無力な自分



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蚊帳 - 気長に抗酸化待っています! (2022年9月15日 21時) (レス) id: e110b29402 (このIDを非表示/違反報告)
みなか - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年6月8日 22時) (レス) id: 8f3f0cf387 (このIDを非表示/違反報告)
巫都 - 続き待ってます! (2021年12月28日 12時) (レス) id: b5eb63bfb4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 他作品に失礼します。ホリミヤの「うるさい。あとやかましい。」の作品の方はもう更新されないのですか? (2021年10月28日 18時) (レス) id: becaa0688f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ruu | 作成日時:2021年9月20日 15時

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