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「ふじがやは、なんで俺にこんな事したの?」
「……それは、」
お前を殺そうと思ったから
「ふじがや、もしかして俺の事好きなの?」
「……は?」
思わず素っ頓狂な声が出た。は?なんでそんな考えになった?そんな要素あったか?
怪訝な顔をする俺を置いて、北山はなんだか嬉しそうにニコニコしだした。
「俺も、藤ヶ谷のことすき。」
「…は?……え?」
「ね、俺と付き合って?」
全然、理解が追いつかなくて何も言わず北山の顔をじっと見つめてみたら不安になったのか北山の眉は下がってきて少し泣きそうな顔に変わった。
なんだかそのまま北山が泣いちゃいそうな気がして、見てられなくて俺は北山の口に自分の唇を重ねた。
「……へ…?」
「いいよ。付き合おうよ。俺たち。」
なんで、付き合うなんて言ったのかわからない。
けどなんでか目の前の北山を泣かせたくはなかった。
殺さなきゃいけないのに泣かせたくないなんてどうかしてる。
狼だった頃は赤ずきんに出来なかったようなことをしてから殺すのも悪くないんじゃない?
そう、自分の中で言い訳して。
期限は、もう1年もないけれど。11ヶ月。それだけ期間があれば充分だろう。
付き合う事になったんだから2人きりになるチャンスなんて山ほどある。
これはチャンスなんだと自分に言い聞かせた。
「すき。」
嬉しそうに呟いて俺の胸に甘えるように擦り寄ってくる北山を罪悪感を感じながら抱きしめた。
「今日も泊まっちゃだめ?」
2人でのんびりと午前中は過ごして、午後は何となくブラブラと街を歩いて。辺りも暗くなってきて、夕飯を食べ終えた俺たちはそろそろ帰るにはちょうどいい時間だった。
「今日は帰った方がいいんじゃない?」
「なんで?俺はもっと一緒に居たいのに」
「北山、実家でしょ?親御さんも心配するよ。」
納得いってなさそうな北山はむぅっとした顔で俺を見上げて、繋いでいた手を更にぎゅっと握ってきた。
「明日大学で会えるだろ?家まで送ってくからさ。」
「わかった」
まだ、若干納得はしていないけど渋々といった感じで返事をされた。
友達から恋人になった北山は、普段からスキンシップは多かったけど更に多くなって、いつもより少しワガママで。少し、可愛いと思ってしまった。ほんの少しだけ。
北山から俺に向けられる真っ直ぐな好意はなんだかむず痒くてくすぐったい。でも嫌な気にはならなかった。
何も無く普通に出会えていたら良かったのに。
そう、思ってしまった。
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やや子(プロフ) - またまた読み返してました。藤ヶ谷さん、みっくんをどうしていくんでしょうか…。みっくんに嫉妬とかしてほしいです!楽しみです。 (2021年9月15日 20時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!出会っちゃいました!!この後2人がどう変化していくか、是非見守ってやってください! (2021年8月1日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様!度々すみません!みっくんの登場に胸が高鳴りました!ですが…出会ってしまったのですね…。この先が本当に本当に楽しみです。 (2021年7月24日 19時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» やや子さんコメントありがとうございます!表現力無さすぎマンなのでめちゃくちゃ嬉しいです……!!コメントたくさんいただけて本当に励みになってます!のんびり更新にはなると思いますが最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2021年7月23日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様、本当に銀座カラーの狼藤ヶ谷くんに小説で会えるなんて夢みたいです!しかもその物語にはみっくんが登場なんて!ぽんた様の藤北小説愛は胸に響くものがあり、表現もとても大好きです!続きをゆっくりと心待ちにしております。 (2021年7月22日 22時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年7月22日 0時