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俺はずっとなんで避けられてるのかわからないまんまだ。
理由くらい…教えてくれたっていいじゃん。
教えてくれたら俺全力で直すよ?
「あ…のさ、俺…何か悪いことしたかな」
意を決して出した声は蚊の鳴くような小さな声だ。情けない。
「ほんとに申し訳ないんだけどさ、俺心当たりなくて…」
だんだん声が震えてきて視界もぼやけてくる。
え、俺こんなに涙脆かったっけ?そういえば俺は太輔のことになるととことん涙脆くなる。中学も高校の時もそうだった。彼女といる所を見て泣いてたっけ。
いっそひと思いに「嫌い」と言われた方が楽なんだろう。
「なんで…避けたの…」
ポロリと瞳から涙が零れると太輔は驚いたように目を見開いてから困ったように微笑んだ。
「…ごめん…北山が悪い訳じゃなくて…俺が子供だったから…」
突き放されると思っていたのに、太輔から出た言葉は俺を咎めるものじゃなかった。
また、俺に笑いかけてくれる。その現実が信じられなくてまた涙が零れる。
「ほんとに?俺の事嫌いになったんじゃないの?」
「嫌いじゃないから」
太輔に嫌われてなかった。その事が嬉しくてたまらない。嫌われてないならまたお前の隣に俺が居てもいいんだろうか。そんな事を考えてしまう貪欲な自分にドン引くけど、やっぱり太輔が好きだ。少しだけ、少しだけでいいからまた夢を見させて欲しい。
俺の涙を優しく拭うその手にどうか触れさせて欲しい。
「ねぇ、お前の家たまに遊びに行っていい?」
「うん。いいよ」
離れようと思ったのに、俺はまた「幼なじみ」のフリをしてお前の隣に居ようとするズルい奴だ。
ピンポーン
チャイムを押す。もう何回も聞いた太輔の家のチャイム。
あれから俺は別に大した用事はないけれど、無理やり理由を作って太輔の家に行くようになった。
「ん、どしたの」
「へへっ一緒に飯食いたいなって思って」
「またラーメン?」
「違う。なんと今日は俺の手料理」
ガサッとスーパーの袋を見せると太輔は驚いてから「そりゃ楽しみ」と微笑んだ。
この時間が俺の好きな時間で緊張する時間。
太輔にとっては幼なじみとの他愛のない時間なのかもしれない。けど俺にとっては好きな人と居られる時間で、正直太輔と恋人になったようなそんな気分でいられる時間でもあった。
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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年2月21日 2時