俺は君の特別になりたい (ページ7)

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それから俺はマッチングアプリをやめた。
自分を犠牲にしてるような気がしたから。

タダくんとは良い友達関係を築けてると思う。

正直、今は恋人とか欲しいと思わなくなった。ただ、あの時は太輔の｢特別｣になりたくてしょうがなかったけど、もう近くに太輔はいない。求めるだけ無意味だ。
もし次、太輔以外の人を好きになったら…今度はちゃんとアタックしてみよう。
そしたら、片想いは案外楽しいものなのかもしれない。

ウジウジと考えるのはもうやめた。
今は、目の前にあるものをひたすらに、がむしゃらに頑張る事だけ考えるようになった。
バイトリーダー？サークルの幹事？文化祭担当？なんだってやってやる。

そんな感じでがむしゃらにやってたら、いつの間にか俺も大学3年生になっていた。

｢北山くん頼むよ…人足りないんだ｣
｢俺予定あるって言ってるじゃないすか！…手伝いますけど、仕込みだけですからね！｣

と、店長の憐れオーラに負けて仕込みだけ手伝うことになった俺。
今日はサークルの新入生歓迎会だからバイト入れないはずだったのに。
結局、少しだけキッチンを任されて解放されたのは歓迎会が始まったくらいの時間だった。

やばいじゃん完璧遅刻だよ。なんで今日に限って少し遠いところで開催するんですかね。

慌てて着替えて駅まで走る。電車に乗っている間スマホを鏡替わりにして身だしなみを整えておく。ほら、もしかしたら未来の俺の彼氏候補とかいるかもしれないし。まぁ、半分期待して半分は期待しないでおく。

｢わりぃ！遅れた！｣

バタバタと勢いよく席の辺りに行くと｢遅い｣だの色々文句言われた。
なんだか視線を感じてその方を見るとあんまり見ない顔がビックリしたように目を見開いて俺の方を見ていたのだ。

｢お！お前、新入……生…え…｣

いや、見ない顔じゃない…よく知っている顔だ。

｢太輔……｣

なんで…
やっと忘れられそうだったのに、前に進めそうだったのに…
なんで…

なんでまた俺の前に現れたんだ…