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そのまま眠ってしまったようだ。
太輔の額を撫でる手と謝る声で目が覚めた。
「ごめんな…ヒロ…」
「何が…?何謝ってんの?」
「いや、なんでもない」
俺から素っ気なく目をそらす姿が、中学の時俺を避けていた太輔と重なった。
また、俺はなにかしたんだろうか。
また、何もわからず離れていくんだろうか。
「またなんにも言わずに離れてく気?」
俺がそういえば太輔は驚いたように目を見開いた。
「何年お前と一緒に居たと思ってんの。分かるよ。」
「ヒロ…」
「俺、また何かしちゃったかな…」
太輔の顔を見るとどんどん自分の目に涙が溜まっていくのがわかる。さっきまで落ち着いてた頭の痛みもどんどん強くなっていく。
離れていくなら理由を知りたい。わけも分からず避けられるのは嫌だ。これから避けられるなら、せめて今想いだけでも伝えさせて欲しい。
これが最後になるなら。
「…ごめん」
今はそんな言葉が聞きたいんじゃない。
もういいや。これで最後なら、とことん太輔に嫌われてしまおうか。
「もういい…なにをしてもお前に嫌われるなら…最後くらい俺の好き勝手やったっていいよな」
俺は太輔の胸ぐらを掴んで自分の唇を太輔の唇に押し付けた。
乱暴で色気の無いキス。
なんなら血の味もする。
もっと好き勝手に唇を食んでみようとすれば物凄い力で引き剥がされた。
当たり前か、幼なじみが男が好きって……
なんならその対象にされてるって知ったらさぞかし気持ち悪いだろう。
ここで止めて誤魔化せばいいのに頭はもう正常な判断が出来なくて思っていた事がこぼれ落ちていった。
「…もういいや。お前に避けられてから…もう今までみたいに仲良くするのは無理って思ってたんだ。だからお前と再会して、また仲良くできて凄く嬉しかった。それと同時にこれ以上嫌われたくない。避けられたくないって思うようになった。でも結局、お前は俺から離れていくんだろ?俺がどう頑張ったって。」
「…離れていくって…それを望んだのはヒロじゃん!「もう会わない」って言ったのはヒロだよ…」
「…うん。」
「俺はヒロがわかんない。俺の事どう思ってんの…?なんで「会わない」なんて言ったの…」
「…言えない。言えねぇよ…」
「ヒロが言わないなら俺が言う。俺がヒロに思ってる事全部。」
まるで死刑宣告でもされるような気分だ。
きっと気持ち悪いとか迷惑とかそういうの言われるに決まってる。
嫌だ。
「俺は、もうヒロのこと幼なじみとして見れない。」
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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年2月21日 2時