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8月24日。太輔が帰ってくる。
何時に帰ってくるとか聞いてなくて、LINEも返事来ないし。
やっぱ避けられてる。
それなら太輔が避けられないようにするだけ。

それにしても真夏の空の下、さすがに玄関前で待つってのはなかなかしんどい。
ペットボトルのお茶は1本目がなくなりそうだった。2本買っておいてよかった。2本で足りるかは分からないけど……
なんなら頭がクラクラしてきた。
どこか涼しいところで待つのもいいのかもしれないけど、その間太輔が家に帰ってきて居留守でも使われたらたまったもんじゃない。
ドアの前に居れば嫌でも太輔は俺を部屋に入れてくれる。
だからここで待つ。

照りつけるように暑かった日差しも時間とともにだんだん落ち着いてきて、涼しい風になってきた。
それでもまだ太輔は帰ってこない。
いつの間にか2本目のペットボトルも空になった。

「いつ帰ってくんだよ……」

やることも無くてずっと弄ってたスマホは充電が20%を切った。スマホだけじゃなくて俺の体力もそろそろ限界で、さっきクラクラしてた頭はガンガンと何か鈍器で叩かれてるんじゃないかってくらい痛い。
まずい…熱中症だ。

いいや、このまま冷たい風に当たってれば少しはマシになるだろう。少し眠ろう。そう思って意識を手放そうとした。

「…ヒロ…」

太輔の声が聞こえた気がしてゆっくりと目を開ける。
太輔だ…太輔が目の前にいる…

「おせぇよ」

思いっきり文句を言ってやろうと思ったのに、声は上手く出なかった。
頬にそっと手が添えられる。汗ばんでいる太輔の手。

「ヒロ大丈夫?立てる?」
「…ん」

たとうと思ったらふらついて上手く立てない。
あーあ。やっちゃったなと思いながら太輔におぶられて部屋の中に入った。
ベッドに寝かされて、冷房もつけてくれた。
優しく頭を撫でられて擽ったくて目を開けると心配そうに俺を見つめる太輔と目が合った。

「たいすけ…」
「ずっと待ってたんでしょ。ごめん。早く帰らなくて」
「ん…」

ぽんぽんと頭を撫でてか席を立とうとする太輔。
ダメだ……また何処かに行っちゃう。
俺は咄嗟に太輔の手を掴んだ。
嫌だ。
まだ何も言えてない。
嫌だ。
心細い。1人にしないで

「ヒロ?」
「…やだ。」
「コンビニ行くだけだから」
「やだっ…俺から離れて行かないでよっ…置いてかないで…」

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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年2月21日 2時

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