俺は君の特別になりたい (ページ12)

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「最近嬉しいこと続きでね～ふふっ」
「ハイハイ。それ何回目やねん」
「だってさぁ…もう話せないと思ってたんだよ？こんなことできるなんて思わないじゃん？！」
「へーへー。それはようござんした。すみませんー。お会計お願いします」
「えー、もうちょい飲みたい」

久しぶりにタダくんとの飲み、ほぼ俺が太輔のことをベラベラ喋って終わったけど。
半ば呆れ気味のタダくんと別れて駅の方に歩き出す。
大学近くの居酒屋。太輔の家まで徒歩10分くらい。今の時間はもう終電はない。正直言ってしまうと自分の家も大学から1駅程度しか離れていないから2～30分くらい歩けば帰れるのだ。
それでも太輔の家の方に足が向かうのは会いたいからだ。

もう寝てるかな…流石に迷惑だよな…それでも会いたい。１回チャイムを鳴らして出てこなかったら諦めて帰ろう。
そんな事を考えていたらいつの間にか太輔の家だ。酔いはもう覚めた。
少し緊張しながらチャイムを押す。
チャイムを押す瞬間はいつも緊張してるけど、今日は深夜だからだろうか。いつもより緊張する。

ピンポーン

チャイムを鳴らしても部屋の中から物音も何も無い。やっぱり寝てるのかな。そう思ったらバタバタと玄関に向かってくる足音が聞こえた。
ガチャッとドアが開けられると半目状態で眠そうな太輔が出てきた。

「よっ！！来ちゃった！」

なるべく酔って陽気になってるような口調に寄せて。わざと酔ってるフリするのは少しでも長く太輔と居たいからだ。

「来ちゃったじゃねぇよ。どうせ終電逃したんだろ」
「うん。ね、泊めて？」

寝起きだからか少し不機嫌そうに眉を顰める太輔に、俺も負けじと空気読めない奴のフリして…いや、フリじゃない。こんな時間に突撃するなんて空気読めない以外の何でもない。

「…ダメって言ったら？」

ダメなのか…そうだよね…そう落ち込む気持ちを隠すようにヘラヘラと笑って「考えてなかった」とか「泊めてくれないのかよー」と小言を言ってから元来た道に踵を返そうとした

けど太輔に手を取られてそれは出来なかった。

「泊まってけば」

いつもよりぶっきらぼうだけどやっぱり太輔は優しい。
違うって、ダメだって分かってるけど少し期待してしまう。
酔いは覚めているのに火照ってきた頬を冷ましたくて、赤い顔を見せたくなくてぶっきらぼうに「シャワー借りるわ」と言って脱衣所に入った。