俺は君の特別になりたい (ページ1)

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俺にとって太輔の存在は特別だった。
特別で大切な幼なじみ。

歳は2つ違うけど、1番の親友で何をするのも一緒。俺の隣はお前で、お前の隣は俺。いつまでも変わらないと思ってた。そう思って疑わなかった

幼稚園頃は恋愛なんてものはみんな分からなくて、ただ「すき」だったものが小学校になっていくとなんとなく恋愛というものを少しづつ理解していって中学になればその先のことを知るようになる。

ただ俺は周りの子と同じように女の子に対してそれを思い描けなかった。
ただ太輔の隣を歩いて、他愛のない話をして笑いあっている事が幸せだった。
太輔の隣にいるのはこれから先もずっと俺がいい。
これが普通の友達、幼なじみに対する感情じゃないって気付いたのはいつだろう。
この時は、これが他の人と違うという意識もなく、太輔もきっと同じ事を思っているんだろう。そう思っていた。

「あいつホモっぽくね？気持ちわりー」

クラスで中の良い奴がそう言いながら指を指して笑っていたのは隣のクラスのなよなよしている奴だった。

「ホモって？」
「え、お前知らねぇの？男の事を好きな男の事！」

それの何が気持ち悪いんだろうか。
誰が誰を好きになろうが勝手だろ。

「別に、良くない？」

「俺の好きな人も幼なじみの男だし。」そう続けようとした。が、友人の言葉に遮られた。

「え、有り得ねぇだろ。キモくね？」

ありえない？キモイ？
言い返そうにも周りの奴らも頷いていて、そこで初めておかしいのは自分の方だと知った。
ここで俺が「好きな人は男だ」なんて言ったらいじめの標的にされるのは明白で、俺は頷いて

「だよな。気持ちわりー」

と言うことしかできなかった。
自分で否定してしまった後は、何だかモヤモヤして虚しくて泣きたくなった。

太輔もそう思うんだろうか。気持ち悪いって。
それなら俺はこの気持ちを気付かれないようにしなければならない。
この気持ちを押し殺すなんて到底無理だ。だけど俺はずっと太輔の隣に居たい。

幼なじみなら、友達としてなら…許されるだろ？