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時は経ち。私達は3年生へと進級した。私が所属している作法委員会メンバーの変動は起きず、新入生を迎え入れるだけとなった。
「綾部、穴掘りやめて出ておいで」
泥まみれになった猫が、気だるげにこちらを見る。穴掘りが楽しいのはわかるけれど、綾部を委員会に連れて行かないと私が怒られるんだよ。
「Aせんぱーい、僕に変装して……」
「いや駄目だから!早く行くよ!」
渋る綾部を引きずって、作法室へと向かう。今日は生首フィギュアの湿気取りをするようで、先輩方よりも先に、準備をしておかなければならない。
「浦風、早いね」
予習が大好きな1年生の浦風藤内は、せっせと生首フィギュアを外に運んでいた。綾部も諦めたのか重そうな道具を率先して運び出した。
「A!委員会中か?」
「あぁ、そうだよ」
3年生になってからというもの。同級生たちのが声が低くなり始めた。背丈も段々と抜かされていき、男女の差をまざまざと見せつけられているような感覚がある。
そしてまぁ、この尾浜という男が厄介なもので。私の正体を知ってか否か、私の事を妙に気遣ってくる。今でさえ、重くも無い荷物を私から奪い取ろうとする始末だ。
「なぁ、それ暑くないの?」
「あー」
女性特有の月の巡りが来てしまい、寒気と体のだるさが襲ってきている。
だから所々で暑い暑いと愚痴をこぼす忍たまの中で、中着を着ている私は異常なんだろう。
「まだ寒い?」
「まぁ……。でも今から委員会だし……」
「顔、白いんだけど」
「……そんなに?」
取り出した手鏡には、幽霊のような青白い顔が映っている。これは……下級生なら兎も角、敏い忍たま達なら分かってしまう気がする。
運んでいた化粧道具にあった頬紅で何とか誤魔化してみる。うん、伊達に3年も作法委員会をしていたわけじゃない。化粧の技術はそこらのくノ一より上手いと思う。
「どう?」
「パッと見は分からないだろうけど……。まさか委員会続けるつもり?」
「そうだけど。……あ、先輩方がいらっしゃったから、もう行くね」
しかし踏み出した足は着くことはなく、慣れない浮遊感に襲われる。
「はぁ!?ねぇ!尾浜!」
横抱きにされていると気づいた時にはもう遅かった。見た目の割に馬鹿力のコイツから逃げることは出来なかった。
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ポロ(プロフ) - 忍たまファンさん» ありがとうございます! (2022年9月10日 21時) (レス) id: 1dd39356a5 (このIDを非表示/違反報告)
忍たまファン - 続き頑張ってください!! 応援しています!! (2022年9月9日 18時) (レス) @page3 id: 46824efb5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポロ | 作成日時:2022年9月6日 10時