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「なぁ、A。委員会はもう決めたのか?」
「委員会?」
「生徒達が役割に分かれて仕事をするんだよ」
私は今それどころじゃない。右斜め前に座る久々知兵助に釘付けだった。
彼は豆腐を嬉しそうにつまむ。私もそっちの定食にすれば良かった。共通点を自ら逃してしまい、後悔に駆られる。
「A?聞いてる?」
不破が私の顔を覗き込む。この可愛らしい顔は何だろう。見ただけで頬が緩む。
「……っ、うん。今聞いた話だと……僕は作法委員会に入ろうかなぁ」
「これはまた意外だね」
「そう?何だか楽しそう」
決まったのなら早速、明朝にでも学園長先生へ話を通しておこう。
……それよりも。
チラッと久々知を盗み見る。少しの違和感。何だかあの時と違う気がするのは何故だろう。
彼を見ながらうんうんと悩んでいると、パチリと大きな瞳とかち合った。
「どうしたの?」
久々知が凛とした声で問う。違う。あんなにはつらつとしていた声が。学園だからだろうか。
「さっきから兵助の方ばかり見てるよな」
彼の隣に座っていた尾浜が、芋の素揚げを頬張りながら、呟いた。
「え?そう……かな。少し、知り合いに似ていると思って」
「俺が?」
頷くと、彼は興味を無くしたのか、再び豆腐へと手を伸ばした。
一方で、尾浜の方は顎に手を当てて唸った。
「世の中には似ているやつが3人くらいいるらしいし、俺らみたいに変装できる奴もいるからなぁ」
「変装?」
私がお忍びで町へ出る時にするものとは、また違うのだろうか。
「顔の上に面を重ねるんだよ。三郎だって」
鉢屋は急に話を振られたことで、びっくりしたのか咳き込んでいた。確かに、珍しい双子かと思ったが、苗字もまるで異なっていたから、気になっていた。変装だったのか。
「もしかして、ここにいる人みんな変装できるの?」
「みんなでは無いけれど、一応授業には取り入れられているよ」
あの日の少年が、久々知兵助の変装をした別人だったとしたら?
中々に厄介なことになりそうだ。
「なぁ、久々知」
「何?」
「菓子って好き?」
久々知は不思議そうに首を傾げる。何か意味があるのか悩んだ末、思いつかなかったのか、
「そうだね。勘右衛門がくれる菓子が特に好きだよ」
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ポロ(プロフ) - 忍たまファンさん» ありがとうございます! (2022年9月10日 21時) (レス) id: 1dd39356a5 (このIDを非表示/違反報告)
忍たまファン - 続き頑張ってください!! 応援しています!! (2022年9月9日 18時) (レス) @page3 id: 46824efb5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポロ | 作成日時:2022年9月6日 10時