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十の頃。弟が風邪をひいていたため、彼が大好きな茶菓子を買いに行こうと町へ出た。私はある城の娘であったから、1人で町に行くと言うと、止められるのがわかってた。だから言わなかったし、お供にも誰も連れていかなかった。
それがいけなかった。
目の前には明らかに、人攫いだとわかる風貌の男が4人。目は血走って、私の持ち物を一つ一つ品定めしていく。
「やっぱりA家の嬢ちゃんは良いもの持ってるなぁ。1人で出ていくなんて馬鹿なことするぜ」
弟のために買ったのに。食べないでよ。
でも姫なんだから前を向かなくてはならない。
怖い。
駄目。誰か助けを。
土まみれのゴツゴツとした手が、私の髪に触れた。簪を取るためだろうか。
その理由は結局、分からなかった。
鈍い音と共に、倒れ込む男達。そして少年。
少年は木に繋がれていた私の縄を解き、手を引いて走り出した。
早くて、息をする余裕もなくて。お気に入りだった下駄の鼻緒だって切れてしまった。
「大丈夫？怪我は？」
「あ……」
ようやっと休憩した時に出たのは掠れた声で。
少年は何も言わずに、持っていた風呂敷を開けた。その中には私が弟に買ったものと同じ菓子があった。
「食べなよ。美味しいよ」
余計な同情だとか、情けだとかをかけない彼の気持ちが、心地よかった。
菓子を1つつまんで、「美味しい」と呟く。弟にもあげたかった。
「ねぇ、あなた、忍び？」
聞いてはいけない。
あの身のこなしを見ていたら、普通の子供では無いとわかる。だから、尚更、聞いてはいけないのに。何だか聞かないと、後悔しそうだった。
少年は目を丸くして、クスクスと笑った。
「そう。まだまだ、たまごだけどね」
少年の言葉を境に、ぱちぱちと目の周りが光った。
忍びのたまご。格好いい！
「私、あなたにもう一度会いたい」
少年はまたもやクスクスと笑う。同い年の様なのに、こんな余裕の差があるのか。
「会えるといいね。……じゃあ、俺のこれ。あげる」
手拭いが手の上に置かれる。私も何かあげれるものは無いかと思案し、首に提げていた香袋を手渡す。
「私はこれ。もしかしたら忍びだから、匂いが付くものはダメかもしれないけれど……」
「ううん。嬉しいよ」
城が分からない程度の道までおぶってもらい、お礼を言って別れる。
一時の幸せな時間。彼の隣にもっと居たいと思った。
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ポロ(プロフ) - 忍たまファンさん» ありがとうございます！ (2022年9月10日 21時) (
レス) id: 1dd39356a5 (このIDを非表示/違反報告)
忍たまファン - 続き頑張ってください！！ 応援しています！！ (2022年9月9日 18時) (レス) @page3 id: 46824efb5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポロ | 作成日時：2022年9月6日 10時
