sixteen:真剣 ページ17
藤坂家
22:34
「え、功士郎くん、駄目だよ家族がいるんだよ!?一人で行くって!!私これでも剣道強いから大丈…」
「家族がいるのはAも同じだろ!? それに、はい分かりましたって行かせるか普通!?」
「二人共一旦落ち着け!…咲良ちゃん?って子…困ってるぞ」
功士郎のお父さんの声ではっとなる2人。ここで争っても咲良は助からない。ならば早く行動に移さないといけない。
「すみません功士郎くんのお父さん。」
《咲良、一旦切るね。でも必ず助けに行くから!!》
《…うん、待ってる。でも本当に無理しないでよ!?》
《勿論》
そう言って一旦通話終了ボタンを押し、再度顔を上げた。
「Aさん、行こう。俺らで助けよう」
「でも…」
「…Aちゃん、君は剣道をしていると言ったね。」
言いかけたその時、功士郎の父親は真剣な表情で口を開いた。
「え?あ、はい。剣道部です。小さい頃からやっていて…」
「ならこれを使ってくれ。」
「え……!?それ…!!」
差し出されたそれは、真剣。木刀より少し小さい刀だった。
「どっ、どうしてこんなもの持って…!?」
「私の祖父の物なんだ。と言ってももう死んでしまったのだけれど、少しでもマシなると思う。
…本当は2人では行かせたくはないが…窓の補強をしなければならないんだ。いつ突き破るかも分からないからな」
「……有難く頂戴します。本当にありがとうございます……!」
両手でしっかりと刀を握る。刀は1度しか持ったことがないが、なぜかとても馴染む気がした。
そこで功士郎は立ち上がり背伸びをする。
「んじゃ、俺パーカーとかに着替えてくるわ!
あ、Aさん、おれの貸すからちょっと来て」
「あっ、ありがとう」
私は功士郎の背中について行った。
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作者名:はるこてつ(べーきち) x他1人 | 作成日時:2013年9月29日 20時