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タルトレット.10 ページ10

今日、日直だからいつもより早く起きなきゃいけなかった。それだけで気力が削がれていたのに、


「日直〜。これ、次3の7で使うから運んどいてくれ。」


これだ。
教壇の上に置かれた箱。そこには数学の太田先生御用達のチョークや黒板用の定規がごっそり入っている。



「分かりました!……、自分で運べや…。」



後ろから宮さんの笑い声が聞こえる。
久しぶりの方言に違和感を覚えながら、太田箱(生徒間ではそう呼ばれている)に手を伸ばした。



「俺が運ぼうか?」


同じく日直の宮さんが遠慮ぎみにそう聞いてくる。
首を横に振った。


「私黒板の高いところ手が届かないから、黒板消しお願い。」



いつもより少し重く感じる太田箱。
階段までは順調に進めていたけど、上りきったころには手の感覚がなくなっていた。


死ぬ気と言っても過言じゃあないだろう。なんとか3年7組に着いた。



「あ、あの〜、太田箱のお届けに参りました〜。」



さすが3年生とでも言うべきだろうか。問題を出し会う声で私の声は消えた。

誰か気づいてくれないかな。学年が一個違うってだけで恐怖感が倍増される。



「なぁ。」



「ギャッ!……、はい、何でしょうか。」



後ろからの声に可愛くない悲鳴が漏れる。少し顔が赤くなった。



とりあえず声の主の方を向く。北先輩だった。
悲鳴の代わりに魂が一瞬漏れた。



「それ、次の時間使う太田箱やろ。ありがとな。」



広げられた手の上に太田箱を置く。
北先輩に言われた『ありがとな。』で手の痛さとか、全部忘れてしまった。



「あ、私水戸Aというものです!」



……、何言ってるの私ーーーー!!!
これじゃただの頭ヤバい子だよ!舞い上がりすぎだって!!



脳内で大後悔していると、北先輩は目を細めて笑っていた。
夜に想像していたよりずっと豪快で、心臓の奥が痛くなる。



「水戸さんか、この紹介やったら忘れられんな。俺は北信介や。」



「忘れないよう善処します。では、失礼します。」



名前、知っていたけども!!
改めて聞くとなんかこう、恥ずかしいというか、今まで接点がなかったことを恨めしく思うというか……。



とりあえず、教室に着いたら宮さんに自慢しよう。

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ぬーすけ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新順で巡ってたら、惹かれる作品に出会いました。宮くんが可愛いです。更新大変だとは思いますが頑張ってください(*^^*) (2019年1月27日 1時) (レス) id: af92ea114b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2018年12月24日 14時

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