第三話 ページ4
自分の何倍もの身長のある鬼が、鋭くて長い牙をむき出しにして。
頭部には3つの顔がついていた。右、左、正面に向けて威嚇するように、6つある白目のない目を見開いていた。どこを見ているかもわからない焦点の合わない、真っ黒で濁った目を。
手は合計八本あり、肩から、肋から、背中から、首から左右一本ずつだった。
火傷でただれたかのような皮膚からは、地獄を連想させた。
「niДавайте geсделаем roэто ловушкой！」
こちらに向かって一人の男が叫んだ。
早く逃げろ！と言われて逃げようとすると、二人の足に麻縄をくくりつける女がいる。
その女は麻縄を近くの店の柱に結び、錯乱した様子で逃げていった。
「そんな！これじゃ逃げられないじゃない！」
そう、二人は囮にされたのだ。
外すから鬼の様子をみていて、という葉山に従い警戒していると、
どしん、どしんと大きな足で地面を揺らしながら近づいてくる鬼。
足音に焦って手こずる葉山。
早く、早く、焦るほど絡まる縄。
汗で滑りうまくつかめない。
正面にある顔をこちらに向け、鬼は二人を見下ろす。
くくりつけられた麻縄がやっとほどけた、そのとき。
鬼と、目があったのだ。
声にならないほどの恐怖に、彼女は慄いた。
全身の血が体中を逃げ回り、心臓が痛いほど拍を刻む。
動けなくなる彼女を見て、葉山は思い出した。
この絵本に出てくる鬼は、一見目が合わなさそうな瞳をしているが、違う。
白目まで黒いのではなくて、自分たちに見えているのは大きな瞳孔の中心部なのだ。
油断して見ていると目があって動けなくされる。
こうなったら自分が運ぶしかない。
こんなところで日頃のトレーニングが役立つとは。そう思いながら彼女を軽々とお姫様抱っこをし、とにかく走る。
行き着いたのは一軒の大きな館だった。
館の周辺は大きな太い木で囲まれ、行き止まりになっていた。
鬼が追いつき、死を覚悟する。
追いかけてきた鬼がその大きな手を振り下ろす。
すると、館の扉が開き二人は中へと吸い込まれた。
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YUKARI♪ - 毒りんごパイさん» それは良かったです！ (2019年11月27日 22時) (
レス) id: 8e0566877e (このIDを非表示/違反報告)
毒りんごパイ(プロフ) - ありがとうございます…(T_T)更新するモチベーションが無くなっていたのですが、気力が湧いてきました！ (2019年11月24日 20時) (レス) id: 402e3fe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - イベントのYUKARI♪です！読みましたがとても面白かったです！評価させて頂きました！ (2019年11月22日 15時) (レス) id: 8da6d1b6ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毒りんごパイ | 作成日時：2019年11月15日 23時
