【あんスタ】存在証明 (ページ7)

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オマツリ 16 ページ7

｢羽風先輩…！！！！｣

私が漸く羽風先輩を見つけたのは、真緒と別れて30分程経ったあとだった。

｢あれ？君は……、あぁ、佐倉くんだっけ？｣

夢ノ咲学院のものでは無い制服に身を包んだ女の子達に囲まれたまま、羽風先輩はヒラヒラと手を振った。

｢あの！もうすぐ【春の音楽祭】の本番なので、軽音楽部室で、１回合わせたいって……朔間先輩が……！｣

構内を走り回って息も絶え絶えな私を見て、羽風先輩が考え込むような素振りを見せる。

｢ん～……、でも俺、今回の【春の音楽祭】に向けて特に何も準備してないんだよね。今更参加するってなっても足を引っ張るだけだと思うから……｣

ニコリと笑う羽風先輩。

｢俺は今回ステージには上がらないよ。ステージ周辺で呼び込みに徹しようかな～｣

その言葉に、羽風先輩を囲む女の子達から｢え～｣という不満の声が上がる。

｢ごめんね～。代わりに『学院祭』では絶対カッコいい俺を見せてあげるから、ホントホント。だからその時にもまた可愛い顔を、俺に見せに来て♪｣

流れるように羽風先輩が吐いた甘い台詞に、女の子たちは黄色い歓声を上げる。

スゴい……アイドルっぽいな～こういう所……

名残惜しそうに去っていく女の子達を見送ると、羽風先輩が言う。

｢さてと。あんまり朔間さんを困らせてもあとが怖いし、さっさと戻ろうか｣

｢……あ、あの！｣

海洋生物部での一件で、羽風先輩を怒らせてしまったと思っていたんだけど……

｢お、おれ、羽風先輩に嫌われてしまったかと思って……｣

｢ん～？俺君に何かされたっけ？……あ、もしかしてこの間の部室での話？｣

｢そうです……突然輪に入った事に気分を害してたらと思って｣

後ろめたくなって目を伏せる。

｢あ～、ごめんね？別に怒ってるわけじゃないから。単に部活の活動と関係ない事に関わるつもりはないってだけ。もし君が誰かに虐められてるなら可哀想だとは思うけど、俺は基本的に『善人』ではないからね｣

羽風先輩はニヤリと笑う。

｢弱い者を助ける人は守沢くんとか、より適任な人がいるから。わざわざ俺が矢面に立つのは嫌だなってだけ。単に仲良くする分には構わないよ｣

｢っじゃあ！｣

｢まぁ俺は男と仲良くするつもりはないけどね～♪｣

漫画かアニメのようにズッコケる私。

期待させといて落とさないでくれ～～！

｢ほら、朔間さんに呼ばれてるんでしょ？早く戻ろうよ｣

｢は、はい！｣

いよいよ【春の音楽祭】、開演だ！