第37話 ページ38
「…ッ千秋……………!」
「天祥院くん!それ以上乗り出したら危ないッ…!」
崖から身を乗り出して必死に千秋に手を伸ばす僕を慌てて抑える朔間さん。
「この高さ…それにこの雨では彼を引き上げることは難しいですね…」
下手に動けば私達も危険です、と渉が悔しそうに言った。
「嫌だ………ッ千秋……」
なんで
どうして
千秋だけじゃない。
何故みんながこんな目に遭わなければならないんだ。
目の前が真っ暗になる。
僕の夢
アイドルを文化の領域にまで高める、夢
芸能界に新しい風を
夢ノ咲学院の才能ある彼らなら
彼らの能力があれば_______________
彼らはこんな風に志半ばで命を落としていい存在じゃない。
キラキラ光る宝物なんだ。
それにきっとみんなは怒るかもしれないけれど
酷いことをしてきた僕が
彼らの事をこんな風に言ってはいけないのかもしれないけれど
彼らは僕の青春
僕の友人だ
僕が途中で死んだって
あとは任せたって言える存在になってくれると思ってた。
おかしいね敬人。
お前は僕の葬式で経を読んでくれるんじゃなかったの?
月永くんだって
もっともっとその才能を輝かせ続けてくれるんじゃなかったの?
「天祥院くん!」
ああ、やっぱり僕のせいなのかな。
僕がしてきた事への罰?
僕は何処で間違えたんだろう。
「英智!」
いや、間違いだらけだった。
友達を切り捨てながら戦争をしてきたんだ。
僕は。
僕は_______________
「………チッ」
「…………ッッ!!」
思い切り頬を殴られる。
「……零」
渉が心配そうに僕らを見つめる。
「テメ〜が何を考えてるかなんて簡単に予想がつくけどよぅ…今更テメ〜がうじうじ悩んだ所であいつらの命は戻ってこね〜んだよ根暗野郎ッ!」
「…朔間……先輩…」
「今俺らがやらなきゃなんね〜のは生き抜く事だ」
朔間…くんの真っ赤な瞳が僕をしっかりと捉える。
「これ以上だれも死なない。死なせない」
僕は彼のその言葉にただ頷く事しか出来なかった。
67人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卍みきちゃま卍(プロフ) - スーダンみたいで好きだ... (2019年8月23日 9時) (レス) id: 139c03c43b (このIDを非表示/違反報告)
捕鯨船(プロフ) - 報告ありがとうございます!修正しました! (2018年2月3日 19時) (レス) id: b2d51ee9ad (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@Cherry blossom(プロフ) - それと、38の時"1日しかに7人"となっていました。最後に47のところ"彼を手負いの状態で彼を"となっていました。続編も楽しみにしてます! (2018年2月3日 19時) (レス) id: bd93821e26 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@Cherry blossom(プロフ) - コメント失礼します!原作も読んだことあるのですが、また違ったキャラで読むと面白くて、とても良かったです!いくつか気になる点があるのですが、12の時"高峰"となってますが正しくは"高峯"ですよ〜。 (2018年2月3日 19時) (レス) id: bd93821e26 (このIDを非表示/違反報告)
海希 - あ、あと、この事件を知ったあと学院の人達がどんな感じなのか気になります!! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 426add2276 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なつほ | 作成日時:2017年12月21日 2時