第33話 ページ34
「さて、吾輩は珈琲でもいれようかの」
そう言って朔間さんは席を立った。
未だ電気は復旧していないため、朔間さんは何処からか持ってきた懐中電灯をつけた。
後で朔間さんに懐中電灯の事聞こう。
物置あたりにランタンとかないかな。このままでは流石に不便だ。
朔間さんの一挙一動を眺めながら〈僕〉は今後の事を考えていた。
もし犯人がこの中にいるとしたら、その人をどうやって止めるべき、か。
猟銃に視線を落とし、また考える。
これが犯人の書き上げたシナリオだと言うのなら、用意されたこの猟銃で仲間を、もしくは犯人を撃ち殺さなければならない。
僕に出来るだろうか。
いや、僕がやらなければ。
_______________僕は、僕自身が犯人ではない事を知っている。
その時、屋敷中に銃声が響き渡った。
ドラマや映画の中で聞き慣れたものなんかよりずっと大きな音。
僕は銃声がした上の階を見上げ、立ち上がる。
「天祥院くん…!」
「英智…!」
2人が広間に駆け込んでくる。
僕は黙って頷き、二人を連れて上の階へ上がった。
「A!!!!A!!!!」
暗い廊下、暗い部屋。
二階の階段のすぐ側の部屋から僅かに光が零れており、中から千秋の声が聞こえる。
「千秋!Aちゃん!!」
「天祥院!!!!Aが!!!!」
電気のつかない闇の中、朔間さんの懐中電灯とスマートフォンの明かりに照らされた千秋は泣きそうな顔をしていた。
そして部屋に篭った血の臭いで、何が起きているかなど明らかだった。
「即死だったみたいだ…!銃声がして、慌ててAの部屋に飛び込んで、駆け寄った時には息してなくて…!」
Aが、Aが!と狼狽える千秋を宥め、とりあえず抱えてるAちゃんをベッドに寝かすように言った。
Aちゃんの血に濡れた胸元が見え、ぞっとする。
1発だ。
猟銃は1発で1人の命を奪える。
視界がぐるりと一回転して、同時に僕の身体も崩れ落ちる。
「英智…」
すんでの所で渉が僕を受け止めてくれた。
「…とりあえず広間に戻りましょう…零、ヒーローさんを連れてきてもらえますか?」
渉の言葉に従って、未だAちゃんの亡骸にしがみついている千秋を朔間さんが引き剥がすのが見えた。
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卍みきちゃま卍(プロフ) - スーダンみたいで好きだ... (2019年8月23日 9時) (レス) id: 139c03c43b (このIDを非表示/違反報告)
捕鯨船(プロフ) - 報告ありがとうございます!修正しました! (2018年2月3日 19時) (レス) id: b2d51ee9ad (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@Cherry blossom(プロフ) - それと、38の時"1日しかに7人"となっていました。最後に47のところ"彼を手負いの状態で彼を"となっていました。続編も楽しみにしてます! (2018年2月3日 19時) (レス) id: bd93821e26 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@Cherry blossom(プロフ) - コメント失礼します!原作も読んだことあるのですが、また違ったキャラで読むと面白くて、とても良かったです!いくつか気になる点があるのですが、12の時"高峰"となってますが正しくは"高峯"ですよ〜。 (2018年2月3日 19時) (レス) id: bd93821e26 (このIDを非表示/違反報告)
海希 - あ、あと、この事件を知ったあと学院の人達がどんな感じなのか気になります!! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 426add2276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつほ | 作成日時:2017年12月21日 2時