47話 ページ7
「、ハァ、ハァ、」
だいぶ過呼吸が治まる。
「大丈夫かい?相変わらず目を離したらすぐ死にそうになるんだから。まるで虫みたいだね。」
なんて言って笑う太宰さんは昔と変わらず減らず口を叩いてくる。
どういうつもりか分からず、キッと睨み付けるが、太宰さんは相変わらず読めない笑みで笑う。
「そうだ!君も手伝ってくれ給え。芥川君が暴れたせいで気を失っている者が三人、とても私一人では抱えきれない。」
そう言ってこの人は道化のように大きく、態とらしく声を上げる。
けれど、私はこの人の元でずっと扱き使われてきたせいか、それとも4年前までこの人が好きだったせいか、
私はいつの間にか太宰さんのその言葉に静かに頷いていた。
────
──
─
「あ、太宰さん!国木田さんが探してましたよ。」
「やぁ賢治くん。現場帰りかい?お疲れ様。」
私は探偵社があるビルまで来ていた。
何故、私は敵である探偵社まで来てしまったのだろうか、
そんな後悔に苛まれている時、“あれ?お客さんですか?”という声が聞こえた。
下げていた顔を上げるとそこに居たのは麦わら帽子が良く似合うそばかす顔の少年が居た。
「はじめまして!僕は宮沢賢治です!よろしくお願いします!」
と妙にキラキラした目で見られた。
「……それよりも賢治くん。敦君達がマフィアの襲撃に会って怪我をしているんだ。与謝野先生の所まで運んでくれるかい?」
「わぁ!本当だ、すごい怪我ですね…やっぱり都会って凄い!」
妙に黒い目をした太宰さんに気付いていないのか、賢治くんは“よいしょ!”と言うと三人の人間を軽々と担いで行ってしまった。
「……A。」
その場に取り残された私と太宰さん。
太宰さんは妙に黒い目をしている。
光の世界に来たことで太宰さんは少し明るくなったと思っていた。
けど、それは間違いだった。
太宰さんは前と変わらず、真っ暗な闇を灯した目で私の名を呼ぶ。
「……A、君とずっと話したいことがあったんだ。……私と一緒においで。」
相も変わらず光を無くした目で此方に手を差し伸べている太宰さん、
、もう一度、その手を差し伸べてくれる機会が来るとは思ってもいなかった私は、
「────はい、」
小さく頷きその手を取った。
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山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 全然大丈夫です!もう描いてもらえるだけで本当にありがたいんで!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!少し絵柄が違うかもしれませんが、その時はすみません... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 描いてもらえるだけで本当に嬉しいのでどちらでも大丈夫です!描いてくれて本当にありがとうございます! (2019年2月27日 22時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 夢主ちゃんのことなのですが...4年前と現在の姿は別々のイラストが良いですか?それとも一緒の方が良いですか?2パターン描いてはいるのですが... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!いえいえ!!ありがとうございました! (2019年2月19日 8時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山猫 | 作成日時:2019年2月9日 14時