54話 ページ14
首領の命令に従い、私は裏切り者の粛正に来ていた。……のだが、
「……遠い、」
そう、首領の言っていたとおり逃げた先が遠すぎるのだ。
電車やバスを乗り継ぎし、丸一日掛けてようやくとうちゃくしたのだ。
場所はお察しのとおりド田舎、
勿論携帯も圏外で使い物にならない。
折角今日、半年ぶりに兄さんが出張から帰ってくるのに……
少し不貞腐れつつ、さっさと終わらせ兄さんと会おう。そう決意し、私は裏切り者の粛正に出掛けた。
────
──
─
その頃のマフィア本部では……
「相変わらずの悪巧みかぁ?」
「げ、その声は……」
階段を降りてくる男が楽しそうに笑みを浮かべる。
「こりゃいいぜ、最高の眺めだ。百億の名画にも勝るぜ。」
ポートマフィア幹部・異能力────『汚れちまった悲しみに』
「最悪、うわっ、最悪…」
旧友……とは言えないが、元相棒同士が四年ぶりの再会を果たしていた。
しかし、その再会は喜ばしいものでは無いようで、太宰は顔を歪める。
久しぶりに会って二人が繰り広げるは口喧嘩、嫌味の応酬。
そんな中、太宰はうんざりしたように聞く。
「きみ、何しに来たの?」
「嫌がらせだよ。」
「……」
太宰の問いに対し、中也は僅かに怒りを込めた声で言う。
思い返すは散々弄ばれた日々、そして今もなお太宰に置いていかれ、心の底で泣き続ける自身の妹の姿。
「あの頃の手前には散々弄ばれたもんだ。だが……」
中也は敢えて妹のことには触れなかった。
言ってしまえば、それを認めざるを得なくなるからだ。
中也は怒りを込めて背後の壁を凄まじい回し蹴りで太宰の頭上を払う。
太宰の背後の壁は一部破壊され、それと一緒に太宰を繋いでいた鎖も切れる。
「そういうのは大抵十倍で返される。手前が何を企んでるのか知らねぇが、俺と戦え、太宰。手前の腹の計画ごと叩き潰してやる。」
「……中也。」
パチン、と指を鳴らす太宰。その瞬間、太宰を拘束していた手枷は解けて落ちる。
「何時でも逃げられたってか?」
「君が私の計画を阻止?冗談だろ?」
お互いがお互いを挑発し合う。
「……良い展開になってきたじゃねぇか!!」
その言葉を合図に戦いは始まる。
太宰がここに来た理由は
一つ目は中島敦の懸賞金の払い主について、
二つ目は久しぶりに再開した元相棒への嫌がらせ。
そして三つ目は────
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山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 全然大丈夫です!もう描いてもらえるだけで本当にありがたいんで!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!少し絵柄が違うかもしれませんが、その時はすみません... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 描いてもらえるだけで本当に嬉しいのでどちらでも大丈夫です!描いてくれて本当にありがとうございます! (2019年2月27日 22時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 夢主ちゃんのことなのですが...4年前と現在の姿は別々のイラストが良いですか?それとも一緒の方が良いですか?2パターン描いてはいるのですが... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!いえいえ!!ありがとうございました! (2019年2月19日 8時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山猫 | 作成日時:2019年2月9日 14時