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あまりに空気が澱んでいる。それは悪天候のせいだと、そんな呑気に考える人間はいない。あわや血が滲むほどの力を込めていた彼は、ハッとした様子で私に視線を合わせた。
「ぺいんとさんは、ぺいんとさんは本当はあんな人じゃ無いんです!!絶対何かあるはずなんです!その、だから……僕がずっとぺんさんの事見張ってて、もう何も起きないようにするって誓います!だから、どうか、その…」
彼は口ごもって言葉選びに苦戦しているようだったが、言わずともその先はひとつだろう。誰にも言わないでくれ、と。
勿論、迷惑行為、ひいてはストーカー行為にまで及ばれた身として、彼の申し出を呑む義理は一切無い。彼もそのような事は分かりきっているはずだ。だからこそ、正論と友情とに挟まれもがいている。根はいい人のだろう、と、生まれたての不信感もすぐに剥がれ落ちた。
『わかりました。口外はしませんし、警察にも駆け込みません。ただ、彼を私から離してくれるならそれで』
その言葉の全てが本音だった。誰かに相談することも、訴えることもあくまでひとつの手段。私はただ、彼に怯えぬ生活に戻りたい一心だった。
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結局の所、申告通りしにがみさんがぺいんとさんの行動を監視する事で話は落ち着き、緊急用として三人の連絡先を頂いてその日は終わった。しにがみさん、トラゾーさん、クロノアさん。頼れる相手がいるという事実が、こんなにも心強いものとは、
"ぺいんと"さんの影を色濃く感じ、どっと押し寄せた疲れを抱えてその晩は深い眠りについた。
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作者名:えん | 作成日時:2024年2月27日 15時