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ホッコリとした気持ちでチーノくんを見守っていると、視界の端から白い物体が、恐ろしい速さで彼の頬に直撃した。あっ、と声が漏れた頃には、チーノくんはべしゃりと地面に倒れ込んでいた。
勢いを失いグラウンドを転がったボールは、そのまま相手の陣地へ。それを手にしたのは、前に出ていたショッピくんだった。彼は今日に人差し指でボールを回しながら、
「あー、すんません。でも顔面セーフっすね、いやぁ運ええなぁ」
と、けたけた笑った。
首が捻られ、紫の双眸が私のことを捉える。その中に宿っているのは、正体が形容しがたい悪意のようだった。背筋がピシリと凍る。
蛇に睨まれた蛙の如く動けなくなった私に、ショッピくんは笑みを深めた。そのまま正面を向き直した彼は、別の生徒に狙いを定め、ボールを投げる。綺麗なカーブを描いたそれは見事的中し、線の内外から歓声が湧き出た。今の一瞬の出来事を、不審に思った生徒はいないようだ。
その後も、ショッピくんはボールを回されては、爽快さすら感じさせる素早い一撃を放っていた。チーノくんはあれ以降も顔にボールを受けていたが、コントロールの上手さによってまるで偶然そうなったように見せられていたのか、生徒達はおかしそうにチーノくんを馬鹿にするだけだった。
チーノくんの眼鏡の縁は少し曲がっているし、服は倒れた時についた土ですっかり汚れている。ショッピくんがチーノくんを甚振るため、わざとセーフになるような投げ方をしてギリギリまで内野に残しているのだろう、と勘づいたのは私だけだったようだ。
いや、他の生徒も気が付いてはいるが、特に気に留めていないのかもしれない。面白ければそれで良しというのが、悪魔の基本的なスタンスだから。
ランクが上がったらしいショッピくんを讃える生徒達の声を背に、水飲み場へと向かう。運動場の中央で座り込み、何やら離しているチーノくんに直接声をかける勇気は、私には無かった。せめて何かできないかと考えた末に、苦し紛れに思い付いたのが、この水で濡らした手の中のタオルだった。
ぎゅうっと絞ると、繊維に吸収された水分が一斉に外に出て、手のひらに広がり、そのまま滴り落ちていく。ちょろちょろという流水音をぼんやりと聞いていれば、少し遠くから、翼が空気を切る音がした。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
