処刑玉砲-1 ページ26
クラスメイト達が歓声を上げながら走り回る姿を、白い線の外で他人事のような心地で見つめていた。つい1週間と少し前に同じようなことがあったな、と、溜息を吐く。思い出すのは、飛行試験前のあの憂鬱な気持ちだ。実際、状況はかなり酷似している。今いるこの場は不気味な谷ではなく地下の運動場であるが、実技の授業が行われる点は一緒だ。
その昔に悪魔達によって行われていた領地争いを起源とする競技、『処刑玉砲』。現在ではかなり簡略化され、危険性もだいぶ損なわれたと言われているそのスポーツは、それでも私から見れば、決して安全とは思えないものだ。魔力をまとったボールも、それを防ぐ為に狭いラインの中で繰り広げられる魔術も、下手に当たってしまっては大怪我ものだ。まぁ、この消極的な気持ちが幸いしてか、私は授業開始すぐに比較的軽い球に当たって一抜けすることができたのだが。
クラスメイトの、特に女子の目線を多く集めているのは、敵チームのショッピくんだった。幼い頃から発揮されていた要領の良さは今も健在みたいで、敵の球をひらりと躱しては、うまく隙を突いて次々と他の生徒を外野へと送っている。気がつけば、ショッピくんがいるチームと敵チームとでは、かなり内野の人数が開いていた。
「見てみて、また当てた」
「ほんとだ、すごぉい。ランク1だけど、見直しちゃった！」
「よく見ればかっこいいかも⋯⋯頑張って、イロニーくん！」
そんな黄色い声援の中、ショッピくんは涼しい顔でボールを手に持ち、くるくると器用に回転させていた。次の獲物は誰にしようかとでも考えているのだろうか。
隣の陣に目を向けてみると、厳しい局面であることを自覚してか、どの生徒も顔が強張っていた。その中にはチーノくんの姿も見える。中腰のまま今か今かと警戒している彼の目は真剣そのものだ。
そのまま見つめていると、彼の視線が私のそれとかち合う。思わず、口に出さず、唇を少し大きめに動かした。
(がんばれ)
少し距離が離れているから、伝わらないかも。そんな心配はどうやら杞憂だったようで、チームくんは表情を緩め、にっと私に笑いかけた。彼の唇も、私がしたように明確な意図を持って形を変える。が、ん、ば、る。そう言っているように見えた。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
