グラウンド41回目 ページ41
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あれから麻里の仕事を少し手伝い、練習の合間にサッカー部の他の人から声をかけられ雑談したり、神宮寺くんから麻里のことを色々聞かれたり…
あっという間に時間は過ぎた。
19時を前に、部活も終わりらしい。
部活が終わる前に監督が集合をかけた。
先輩や後輩と明るく話すあいつは、遠くから見ても分かるくらい無理して笑っていて、きっと弱さを出せないタイプなんだなーと観察する。
みんなが片付けを終えて、着替えて帰ろうとしても、なおボールを蹴り続ける姿には焦りと落胆が見える。
あんなに続けて練習したらまた怪我するじゃん…
あと少しなのに…
足が出るのが少し遅い…
上半身が付いてきてない…
あーもう！
あと少し！！！
あいつの苛立ちが伝染してくる。
違う違う！
そうじゃない！！
もう！！！
『永瀬！！！』
私は真っ直ぐあいつの元へ歩いて行った。
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肩で息をする永瀬が私を見る。
「………遅かったやん。
見とったらやりたくなるんやなかったん？」
前髪の隙間から疲れた目が私を覗く。
『楽しいサッカー見せつけるんじゃなかったの』
抑えきれず出てきたものの、彼に何て声をかけていいか分からず憎まれ口を叩いてしまう。
「………なんかアドバイスある？」
『ないよ。もう十分頑張ってるじゃん。
あんまりやりすぎると また怪我するよ』
「………急に背伸びてん、、」
『聞いたよ、みんなから』
息を整えながら、彼は小さくぼやいた。
その声色や面影は、普段とは似ても似つかぬ幼稚園児が拗ねたような雰囲気を出しており、それを感じながら私に弱さを見せてくれることが嬉しく思った。
「背だけやない。
肩幅も、腕も、腰回りも、膝下も、
なんもかんも急に変わって
まるで俺の身体やなくなったみたいやねん。
ボール奪おうとしてもワンテンポ遅れるし、
奪えたとしても走ったらボール追いついて来んし…
あと少しなんに…」
そう、あと少しなのだ。
きっともう必要な筋力はついているし、身体に慣れている感じもある。
ただ、あと少し
タイミングが合えば完璧なのだ。
『永瀬、奪ってみなよ、私から』
そう言って私はボールに足をかけた。
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作者名：ぱぴこ | 作成日時：2019年5月30日 22時
