グラウンド40回目 ページ40
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『誰か1on1でも付き合ってあげたらいいじゃん』
体格が変わって今まで通りにいかなくなる苦しさは痛いほどわかる。
私も中3で急に背が伸びてバランスが崩れたし、最近も女性の体に近づくにつれて動きが鈍くなっていっている…
分かっているとはいえ、成長はときに、気持ちを置いてけぼりにするんだ。
「ダメなんだよ。
俺らや先輩には全く歯が立たないし、後輩は気遣っちゃうし、ちょうど良い相手がいないんだよね」
「サッカー部以外のちょっと出来るやつとかも良いかと思ったけど、廉にもプライドあるだろうし」
「あと少しで感覚掴めそうなんだけどね〜」
アドバイスをくれと言われても、今は何も言えない…
結局、その体にあう筋肉とバランス感覚を身につけるしかないし、きっとあいつはもう十分に頑張ってる。
見ているだけで苦しさがわかる。
きっとあと少しなのだ。
もどかしい。
何も良いアドバイスが出来そうにない分、あの夜あいつが夜通し付き合ってくれたように、今日は私が向かい合ってあげることにして、フットサルを休む連絡を入れる。
あとは彼が自分の体の成長に追いつくだけなのだ。
自分とひたすら向き合っていく苦しい時間を乗り切ることが必要なのだ。
そしてそれは、とてもきついこと。
ならば今日一日くらい全てを見守って、労いの言葉をかけてあげよう。
ついでにジュースも買ってやろう。
あの夜 垣間見えた、純粋で真っ直ぐな彼のことだから、きっとそれだけでも嬉しいだろう。
よし、ジュース買いに行こ。
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作者名:ぱぴこ | 作成日時:2019年5月30日 22時