検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:231,017 hit

グラウンド40回目 ページ40

.






『誰か1on1でも付き合ってあげたらいいじゃん』




体格が変わって今まで通りにいかなくなる苦しさは痛いほどわかる。
私も中3で急に背が伸びてバランスが崩れたし、最近も女性の体に近づくにつれて動きが鈍くなっていっている…
分かっているとはいえ、成長はときに、気持ちを置いてけぼりにするんだ。





「ダメなんだよ。
俺らや先輩には全く歯が立たないし、後輩は気遣っちゃうし、ちょうど良い相手がいないんだよね」

「サッカー部以外のちょっと出来るやつとかも良いかと思ったけど、廉にもプライドあるだろうし」

「あと少しで感覚掴めそうなんだけどね〜」







アドバイスをくれと言われても、今は何も言えない…
結局、その体にあう筋肉とバランス感覚を身につけるしかないし、きっとあいつはもう十分に頑張ってる。



見ているだけで苦しさがわかる。

きっとあと少しなのだ。

もどかしい。







何も良いアドバイスが出来そうにない分、あの夜あいつが夜通し付き合ってくれたように、今日は私が向かい合ってあげることにして、フットサルを休む連絡を入れる。







あとは彼が自分の体の成長に追いつくだけなのだ。
自分とひたすら向き合っていく苦しい時間を乗り切ることが必要なのだ。
そしてそれは、とてもきついこと。




ならば今日一日くらい全てを見守って、労いの言葉をかけてあげよう。
ついでにジュースも買ってやろう。

あの夜 垣間見えた、純粋で真っ直ぐな彼のことだから、きっとそれだけでも嬉しいだろう。









よし、ジュース買いに行こ。


.

グラウンド41回目→←グラウンド39回目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (198 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
535人がお気に入り
設定タグ:永瀬廉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぱぴこ | 作成日時:2019年5月30日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。