一本道で迷子 (ren.n) (ページ37)

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グラウンド37回目ページ37

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「廉くんが、今日サッカー部来いって」

『はあぁ！？』

次の日、学校に着いてすぐ麻里に挨拶したところで耳を疑う言葉を言われた。
パーカーは休み時間に返そうと思っていたけれど、わざわざ神宮寺くんと麻里を伝ってそう言うということは、パーカーを返すついでに金曜の夜のお礼をしろということだろう。

……あいつ、私が今日フットサルって知ってるくせに

火曜日は家に帰らず、直接練習に行っている。
授業が終わってフットサルまでは3時間ほどあるため時間はあるのだが、ファストフード店でご飯を食べながら宿題をして、早めに行って自主練をするというルーティンを崩すのは割と辛い。

しかし、眠気と戦いながら夜通し付き合ってくれたお礼なのだ。
しかもパーカーを借りて、家まで送ってもらって…

『……仕方ない』

今日は自主練なしかと落ち込みながら、1時間目の準備を始めた。

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そういえば、私はサッカー部が練習しているところを見たことがない。
校舎を挟んで、校門とグラウンドは逆サイドなため、見に行こうとしなければランニングで走っている人達とすれ違う程度だ。

自分の練習のヒントになるかもしれないし、強豪というのだから少しは見ておけば良かった。
それだけ今までの私の視野は狭かったのだ。

先生が紫耀くんになってから、どんどん知らない世界を知っていく。

『麻里おつかれ～』
「よっしゃ！部活行くかー！」

パーカーを入れた袋をしっかり持って、麻里と喋りながら部室へ向かう。
途中女子バレー部の部室に寄ってジャージに着替えた麻里は、いつもよりも凛として頼もしいマネージャーの顔をしていた。

「そうえば、廉くんと何かあったの？」

『……へ！？』

「いや、廉くんが誰かに来いって言うの初めてだし、怪我明けで今日は試合もしないし」

『あ～…麻里と神宮寺くんの色々を計画してるときに、何だかんだでパーカー借りちゃってさ。それ返しに来いってことだよ！』

なんとなく、金曜日の夜のことは麻里にも言わなかった。

あの日以来一度も会話をしていないし、なんなら目も合わせてくれなかった。
彼はモテるし、きっと今まで色んな人と付き合ってきてて、夜通し異性と話をするなんて普通のことなんだろう。

麻里と神宮寺くんが付き合えば学校での関わりはなくなるだろうと彼は言っていたが、本当にそうだ。
会おうとしなければ彼と話すことはもうない。

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