今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:11,200 hit
小|中|大
連れ去られた ページ1
「ここ…どこ…?」
水穂は見知らぬ部屋に連れてかれていた。
知らない場所、知らない匂い…。
五感で感じるすべてが知らない場所、いつもだったらどんなところに来たって皆がいた。
怖くは無かった。
けれど今は…
「ひとりだ…。」
その事実に水穂の心臓がどくん、と音を立てた。
「(嫌だ…また、1人になるの?
帰りたい。みんなのいる場所へいきたい…)」
鼻がつん、と痛み、視界が歪んだ。
「みんなぁ…ぐすっ…」
涙が溢れて止まらない。
檻に閉じ込められているし、出れないことは確定だ。
身体が冷たく、水穂は石になったような気分だった。
その時、背中に温もりを感じた。
「大丈夫。大丈夫。」
水穂は耳と耳の間の頭を撫でられた。
とにかく、何かに縋りつきたかった。
この寂しさを、恐怖を、誰かに支えてもらいたかった。
優しい声と、優しい手つき。
今まで味わったことのない、温もりが水穂を包んだ。
「怖い…、ひくっ、うぅ…」
「俺がいるで。大丈夫。」
「(あぁ、温かい)」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
85人がお気に入り
「歌い手」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月10日 19時