其の陸 ページ6
「…祠って、どこにあるんですか?」
「ん?…ほら、町の端っこの方に、森があるだろ?あそこをちょっと行ったところに、な」
「…あそこって、今色々あって進入禁止では?」
「知ったことか。人が人じゃなくなる、っていう緊急事態にそんな規則守ってらんねーよ」
…まぁ、そうなんだけども。
助けてもらう立場なのであまり強く言えないが無茶はしないでほしい。
先輩、一応学校でもバイト先でも割といないと困る立場の役職だし。
なんかあったら
あと普通に心配する。僕が。
「…いざという時は僕のことは置いといて避難してくださいよ。」
「はいはい。わかってるって。…じゃ、乗れよ」
「え?」
僕が乗ってきた自転車に跨がろうとしたところで、先に先輩の愛車である、ネイキッド系の黒いバイクに乗っていた文乃先輩に声をかけられた。…いや、乗れよ、と言われてもなぁ…
「…一ノ瀬。お前さん、今結構体調悪いだろ?妖怪化しかけてんだから。チャリだと疲れるんじゃないか?」
私も前そうだったしな、と言う文乃先輩の声を聞き流すことはなかった。流石僕の耳。
「…私も、ってどういうことですか…?」
「…その話はこの件が終わったらしようか」
「先輩、それフラグ。」
「今一ノ瀬が【フラグ】だと言うことでフラグはへし折られた」
「…だといいんですけど」
「いいから乗れ。チャリだと時間もかかるだろ。ほーら。」
そう急かすので、僕は渋々文乃先輩の後ろに乗った。
「…おっし、じゃあ行くぞ。…風やべーからめっちゃ疲れるけど…まぁ、頑張って。」
「っは、ちょっ」
「おっし、出発っ!」
「えぁっ…!?」
そのバイクが走りだした頃には、朝日は顔を覗かせていた。
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作者名:葉千巻 | 作成日時:2019年12月23日 0時