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其の参 ページ3

「…ん、んぅ」

目が覚めたら見知らぬ天井。
…ここは?
確か僕、さっき…

「!僕、生きてっ…⁈」

「…お、目ェ覚めたか。」

声のした方を向く。
そこには、文乃先輩がいた。

「ふ、文乃先輩?っどうして…」

「ここは私の家だ。私が神社に忘れ物を取りに行ったら、一ノ瀬が神社の階段の辺りでぶっ倒れてたから、運んできたんだ。お前さんの家、知らないしな。…なんかあったんか?」

…倒れてた?僕が?
いや、そんな訳…だって僕は、あの時水に呑まれて…

「っあ、そうだ!あの、僕の周りに、赤い水の跡とか…ありませんでしたか?

「…?赤?水?…よくわからんが…そんなの無かったぞ?」

「え…」

いや、確かスマホの写真にあの、水浸しの廊下を映した筈だ。

「先輩、僕のスマホって…」

「ん?あぁ、それなら…」

そう言って僕にスマホを手渡してくれる文乃先輩。
それを受け取り、写真のフォルダを開く。
件の写真を見てみると、やはり水浸しの廊下が映っていた。

「っほら…!これ、これですよ先輩!僕が階段を下りたら、こんな風になってて…」

「…!」

「ね?ヤバいですよね?しかもこの後、この水が赤く染まって…!」

「…一ノ瀬。…この写真の、ここ。」

そう言って文乃先輩が指で示したのは、写真の端の方。
その部分には…

「っひ、何ですか…これ…ひ、人影…?」

人の形をしたなにかが映り込んでいた。

「…なぁ。」

「っな、何ですか…?」

「お前さん、私の事、食いたいか?」

「…へ?」

「もしもお前さんが少しでも、私を…【人を食べたい】と思ったのなら、早めに祓いに行こう。」

「え?」

「ここに映ってる、この女の人…これは、多分、人を食い続けて狂っちまった怪異、【狂鬼(きょうき)】だろうな…。こいつに魅せられた奴は狂い、血を啜り…いずれそいつも、狂鬼と化す。…こいつはそういう怪異だ。」

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設定タグ:葉千巻 , 含羞草 , 9色の怪異譚   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:葉千巻 | 作成日時:2019年12月23日 0時

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