Myosotis scorpioides【A3!】 (ページ10)

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はち㌻ページ10

その温かさに反射的に顔を上げる。

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_____立花さんは泣いていた。

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「...え...？」

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目の前の思わぬ光景に、目を見開き乾いた声が喉から漏れる。

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「...辛かったよね、そんな事話してくれてありがとう...！」

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俯いて嗚咽交じりに私の手を握る立花さん。

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_____なんで貴方が泣くの。

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私じゃないのに、自分の事じゃないのに、どうして泣いてくれるの。

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胸の中の何かが大きく弾けて、体が熱くなった。

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私の手を握った立花さんの手の甲に、私の涙が一粒落ちて細かい粒子となって弾け飛ぶ。

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「...ごめんなさい、泣きたいわけじゃないのに...っ」

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慌てて目元を拭うと、目の前のぼやけた立花さんがぐしゃぐしゃの顔で笑った気がした。

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「_____ここで、一緒に暮らそう。またここから始めようよ、ね？」

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そう言って、また私の好きな笑顔で笑った。

今度は目元にきらきらと光る涙があったけど、それがまた綺麗で。

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「ありがとう、ございます...よろしくお願い、します...っ」

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久々に心から笑えて、胸につっかえていた何かが消えていくような気がした。

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_____ここから、私の波乱だらけの劇団生活が始まる事になるのだ。