Myosotis scorpioides【A3!】 (ページ3)

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いち㌻ページ3

「大丈夫？」

少し高めの、優しい声が私の耳に入ってくる。

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伏せていた瞼を少しだけ浮上させると、

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綺麗な顔立ちをした長い髪の女性が心配そうに私を覗き込んでいた。

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その瞳が、なんだかあの人に似ていて

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「助けて、ください...」

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無性に縋りたくなった。

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「あー、早くあいつ出てってほしー」

みんなが集まる大部屋で、ふと誰かが口にした言葉。

いつものこと。

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「あー、Aちゃんでしょ？いい歳して施設に入り浸ってんじゃねーって」

「ねー、早く親離れならぬ施設離れしろよーってねー」

きゃははは、と女子特有の甲高い声で笑っている。

私はわざと洗い物の水道の音を大きくして、聞こえないフリをした。

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...知ってる。

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皆、私が邪魔なんだって。

早く出てってほしいんだって。

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幼い頃、両親を亡くしその後姉も祖母も失って天涯孤独になった私。

そんな私は施設の中でも少し特別扱いされていて。

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施設のお母さんとかにも優しく接してもらえる機会が多かった。

それが、皆気に食わなかったのだろう。

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前までは裏でコソコソ言うだけだったのだが、最近は私に聞こえる声でわざと言ってくる。

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_____もう、うんざり。

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気づくと私は家を飛び出していた。