FILE.40 震える意識 ページ40
後ろを振り返ると、ほんのりと香水のいい香りがした。
柔軟剤と、お風呂上がりの温もりを混ぜたようなあの香り。
そこに立っているのは、一枚の紙切れを人差し指と親指で軽くつまんでひらつかせている安室さん...
いや、その目はバーボンに近かった。
「買い物リストですよ。デパートであなたの買い物袋から抜け落ちてきたので、拾っておいたんです。」
そうか、あの時......
落としちゃってたんだな...
「この買い物リストに書いてある中で、酒類コーナーに探しに来るような商品はみりんか料理酒くらい...」
他のことに気を取られすぎてたせいか、周りが全く見えていなかったみたいだ。
買い物リストもそう、食品を買い忘れたのもそう。
犯人から奪ったあの小さなナイフも......
「あなたの買い物かごには既にみりんが入っていましたので、料理酒以外にないという訳ですよ。」
ずっと手に握っていたはずだったのに、忽然と消えてしまっていた。
「まあ初歩的な推理ですがね。」
確認した時だってちゃんと手は握られていて、ナイフだけがそこからすっぽり抜けていて............
『それは気が付きませんでした。ありがとうございます。』
「.........え?
ああ、いえいえ。早く返さなければと思っていたんですが、随分とたくさん書いてありましたので''見入って''しまいましてね...」
安室さんから買い物リストを受け取ろうと、震える手を伸ばす。
震える?
どうして?
「それにしても多いですね...このあたりに引っ越してきたばかりですか?」
指の先、爪の先、足の先からつむじまで
「そんな大荷物、あなた一人では大変でしょう。僕でよければ手伝いますよ。」
悪寒。
急に意識が遠のいていく。
「.........ええと、どうしました?」
耳の奥で重い何かが全てを飲み込む。
「大丈夫ですか?...飯田橋さん?」
そしてプツンと、糸を切るように
意識を奪った。
そのとき僅かに覚えていたのは、
凍るような寒さと、誰かに支えられた身体。
鍛え上げられた腕の温もり________
ーー安室sideーー
ベルモットから''彼女''の調査の依頼を受けた後は、憂鬱ながら、情報を手に入れる方法を考えていた。
ポアロの仕事が終わったら一度本庁に戻ってファイルを_______
_________いや、今はジンやベルモットが近くに滞在している可能性が高い。迂闊に動けないな。
仕方ない。
心もとないが、今日のところはネット上から手がかりを探す他ない。
FILE.41 バーボンの詮索(1)→←FILE.39 忘れ物と落し物
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Ohata(プロフ) - いや 私には700ヤード先の直径1cmの的にピンポイントで弾を食らわせる超人スナイパーに見えます。 現場からは以上です。 ←まじ笑いましたwww (10月9日 10時) (レス) @page6 id: 6c4593a5ce (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます。頑張ります! (2021年4月4日 11時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年3月28日 23時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 星来さん» コメントありがとうございます。通知付けして頂き、とても嬉しく思います!頑張ります。 (2021年3月15日 23時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私は何とも幸運なことに昨日こちらの作品を見つけまして、更新の望みをかけて通知付けさせて頂いたところで、再開のお知らせを新参ながらとても喜ばしく思います。コナンの沼におかえりなさい!!!楽しみにお待ちしてます! (2021年3月15日 16時) (レス) id: 4e1206599e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+G | 作成日時:2019年4月27日 22時