FILE.41 バーボンの詮索(1) ページ41
時刻は20:40。
最後の客に、またいらしてください、なんていかにも爽やかな青年を装って会釈し、誰もいなくなった店内にコーヒーの匂いだけが漂う。
ドアに掛けられたOPENの板をひっくり返して店内に戻り、軽く掃除をして控え室へ。
そこでエプロンを脱いで綺麗にたたむ。
『梓さん、お疲れ様でした。』
「はーい!明日もよろしくね。」
『ああそれと、ハムの件ですが...』
「いいのいいの!安室さんは悪くないんだから!」
『すみません、ありがとうございます。これから空いているスーパーに買いに行きますから、明日は大丈夫です。』
「ありがとう、でも今の時間空いているスーパーなんてあったかなあ。」
『ここから少し遠くはなりますが、住宅街近くの小さめのスーパーなら22時まで営業していたはずです。』
「へえ、知らなかった。私の方が先にここにいたのに、安室さんの方がこの辺に詳しいなんて、ちょっと悔しいなあ。」
『はは、そうですか?』
張り付いた笑顔。
自分でもよくやっているなと思う。
安室透はこうでなくてはならない。
『それじゃあ、お先に失礼します。』
店の表の扉の軽くて暖かい雰囲気とは対照的に、妙に現実味を帯びた冷たい裏口のドアを開けると、入ってきた夜風が肌に染みて、少しだけ寒い。
______さて、まずはスーパーだ。
疲れた体に喝をいれるようにして歩き出す。
少し遠いとは言ったものの、車を使うほどでもない。
それにしても、組織が彼女のことを調べる理由はなんだ?
組織の人間ではない。''こちら側の人間''でもない。
ならば昔組織に関わっていた人間か?
ふとあの景色が思い出される。
レールを走る列車の音、窓からの景色。
銃を持つ手と銃口を向けられた、ウェーブで赤みがかった茶髪_____
____目的が何にせよ、俺が今やらなければならないことは変わらない。彼女の調査と監視。
今はそれに徹するのみ。
余計なことは考えるな。
先入観は推理の邪魔になる。
スーパーにつくと、偶然にも標的は目の前に現れた。
格好は昼と同じ。髪が少し乱れていて、足取りがおぼつかない。
そういえば、買い物リストにある中で、食品だけは帰りに彼女の持っていたどの袋にも入っていなかったな。
僕と同じか。
これはチャンスだ。近づいて情報を引き出せるかもしれない。
場合によってはハニートラップまで持ち込める。
___彼女がそんなものに引っかかるようには見えないがな
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Ohata(プロフ) - いや 私には700ヤード先の直径1cmの的にピンポイントで弾を食らわせる超人スナイパーに見えます。 現場からは以上です。 ←まじ笑いましたwww (10月9日 10時) (レス) @page6 id: 6c4593a5ce (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます。頑張ります! (2021年4月4日 11時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年3月28日 23時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 星来さん» コメントありがとうございます。通知付けして頂き、とても嬉しく思います!頑張ります。 (2021年3月15日 23時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私は何とも幸運なことに昨日こちらの作品を見つけまして、更新の望みをかけて通知付けさせて頂いたところで、再開のお知らせを新参ながらとても喜ばしく思います。コナンの沼におかえりなさい!!!楽しみにお待ちしてます! (2021年3月15日 16時) (レス) id: 4e1206599e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+G | 作成日時:2019年4月27日 22時