◇*13*◇ ページ13
いつも乗っているのとは違う電車に揺られ、
いつも見ているのとは違う格好の君にドキマギして。
たどり着いた駅は、地元から少し離れた海辺の町。
電車が通り過ぎるとホームには生ぬるい風が吹いて、それと同時に塩っぽい香りが鼻を掠めた。
「なあ、海に行くの？」
「ブッブー！海ではありませーん」
まあ海に行くなら水着持ってこないとだし、違うか。
……でもちょっと水着姿、見たかったかも。
男の子だから、仕方ない。
「目的地まで、ここから徒歩５分でーす」
「ええ、この暑い中歩くのかよ……」
「たったの５分なんだから、グチグチ言わない！」
「はいはい、文句多くてすいませんね」
改札を抜けると、さらに暑くて。
テレビでお姉さんが「熱中症には、くれぐれも気をつけてくださいねー」なんて笑顔で言ってたのを思い出して
じゃあ無料で飲み物配ったりしてくれ、なんて思う。
我ながら、なかなかスゴイ事言ってる。
「あっちいな……」
「二宮くん大丈夫？もう着くよ！」
ホントかよ。てか、まだ５分経ってないよ。
とか言いつつ、暑さにやられて突っ込む気力もない貧弱野球部員の俺。
半信半疑ながらも「ジャーン！」って君が得意げに手を広げた方に視線を送ると、
魚のキャラクターがたくさんいるゲートがドドーン！と存在している。
ここは……
「水族館……？」
「せいかーい！！」
「確かに涼しいわ……」
「でしょ？しかも、夏休みキャンペーンで今安いんだよ！」
「おおー」
「反応薄い！」って笑ってるけど、今の俺にリアクション求めるのはちょっと無謀だろ。
あなたほど元気じゃないんだわ。
「さあさあ、はやく中行こう！」
「もう動けないわー」
ちょっとした冗談、のつもりだったけど。
次の瞬間、思いっきり引っ張られた右手。
「ちょ……！」
「ほら、行くよー」
……なんで無意識にこういうことできるかな。
おかげで、さっきまでさんざん暑い暑いと言っていたのが嘘みたいに、今は何も感じないわ。
ただ、繋がれた右手からは君の体温が伝わってきて、心臓が壊れるんじゃないかってぐらいドキドキしている。
なんか、男女の立ち位置が逆な気もするけど。ちょっと情けないけど。
この手、ずっと繋いでいてくれないかな、とか思って。
俺と同じぐらいの大きさだけど、細くて綺麗なその手をギュッと握り返した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬文(プロフ) - tukiさん» 最後までのお付き合い、どうもありがとう♪自分で言うのもアレだけど、本当にピュアなお話でした(笑)可愛い恋愛を表現できたかなーと思います(^^)行間とスペースまでお誉めいただいて←単純に嬉しい！これからものんびり書いていくので、またお付き合いよろしくね☆ (2014年8月25日 6時) (
レス) id: b6a82fdaa4 (このIDを非表示/違反報告)
瀬文(プロフ) - むぅぽんさん» 最後までのお付き合い、ありがとうございます☆今回のピュア宮さん、非常に糖度が高かったんですが(笑)沢山キュンキュンしてもらえたと言うことで私も嬉しいです＼(^^)／アナザーもその後もいつか書く…と思うので(笑)その時はまた温かく見守ってやってください(´∀｀) (2014年8月25日 6時) (レス) id: b6a82fdaa4 (このIDを非表示/違反報告)
tuki(プロフ) - 文ちんお疲れー＼(^o^)／ ぴゅあっぴゅあで可愛かった♪ しかも行間とかスペース読みやすいんだけども！((tukiちゃんの苦手分野☆← anotherも楽しみにしてまするーっ (2014年8月22日 20時) (レス) id: 7952b003f9 (このIDを非表示/違反報告)
むぅぽん(プロフ) - 瀬文ちゃん！完結おめでとう(^-^)/最後の最後まで、甘くてキュンキュンが詰まりまくってて…ピュアな感じもピタリとハマッててすっごい素敵なお話だった\(//∇//)\ドキキュン沢山ありがとう！アナザーストーリー含めて新しいお話、楽しみにしてまーす！ (2014年8月22日 0時) (レス) id: 1db5945223 (このIDを非表示/違反報告)
瀬文(プロフ) - はやしらすさん» 最後までお付き合いしてくれてありがとう☆ピュア宮、書いてて楽しかったよ( ´艸｀)アナザーストーリーは書くか今の所未定だけど…。気が向いたら書こうかなーとは思ってますよ(笑)いつか更新がポコッと上がってたら、その時はまた遊びにきてくださいな♪ (2014年8月21日 21時) (レス) id: b6a82fdaa4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬文 | 作成日時：2014年4月2日 14時
