Feather (ページ6)

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京本くんは生徒会役員に入っていて、定例会があるから普段付けなくてもいいネクタイをしなきゃいけない日だったらしく、たくさんの女の子がネクタイなら貸すよって京本くんに申し出たのを断って、何故か私にネクタイ借りれる？って言われた昨日。

三軍の私が断れるはずもなくて貸したのだけど、綺麗な顔からまさか袋が邪魔だって言葉が出るとは思わなくて、パワーワードすぎる台詞に思わず笑ってしまう。

「え、俺何か変なこと言った？」
「違う違う、ちょっと面白かったの」
「そう？まあAちゃんが笑ってくれたならいいや」
「うん。朝から笑わせてくれてありがとう」
「どういたしまして。あっ、そうだ。これ」

「ネクタイのお礼だよ」って京本くんが鞄から取り出したのは可愛らしくラッピングされた小包み。
それを私の手のひらに乗せた京本くんは『開けてみて』と言わんばかりににこにこと笑みを浮かべているから「いいの？」って確認してから開けてみる。

中に入っているのはカラフルなマシュマロで、「わあ」と目を見開く私に京本くんはふふっと上品に笑った。

「美味しそうでしょ？Aちゃんのイメージに合わせてみた」
「私…？」
「うん。マシュマロって白くて柔らかくて可愛くて甘いじゃん。Aちゃんみたいだなと思って買ってみたんだけど…Aちゃんマシュマロ好き？」

くりくりとした大きな瞳が不思議そうな顔をした私の顔を映す。
京本くんの中で私がマシュマロ…？可愛い？何かの間違いじゃ…

そうした感想は私の顔を不思議なものにさせる。
でも、嬉しいって感じる。
ただネクタイを貸しただけなのに、京本くんは私のことを想像しながら選んでくれたカラフルなマシュマロ。…私なんかの三軍に、京本くんはこんなにも優しくしてくれる。