Feather (ページ5)

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マシュマロページ5

「落ち込んでるよ？Aちゃんが先に帰るから」
「…それは本当にごめんなさい」
「うそ、冗談。けどもっと関わりたいって思ってる気持ちは本当」

目元を下げて優しく弧を描くその表情はあまりにも穏やかでかっこいい。
そう、私は田中くんに憧れている。
憧れの、手の届かない好きな人。

三軍の私なんかと仲良くしてくれる、優しくて温かい人。それが私の知る田中樹という人だった。

「おはよう」

上履きに履き替えて顔を上げたら私を見る綺麗な顔にびっくりする。

「お、はよ」
「眠い？」
「…眠い」
「ふふ、オウムみたい」

頬を膨らませて笑うのは、金色の髪がよく似合う同じクラスの京本くん。
女の私なんかよりも美しい彼は誰が見ても美男子で、それだけでも羨ましいのに彼の父親は国内外でも有名な京本財閥のトップ。
その一人息子ともなれば有名なのは必須で、将来を約束されている御曹司である京本くんはこの学校での一軍、エリート中のエリートである。

…にも関わらず、こうして気さくに話しかけてくれるのが京本くんで。
私たちを見ながらひそひそと話し込む人達が視界に入らないのか、京本くんは私に綺麗に畳まれたネクタイを私に手渡してきた。

「昨日はありがとう。Aちゃんがネクタイ貸してくれたから助かっちゃった」
「あ、ううん。全然大丈夫」
「ちゃんとクリーニングに出してるから安心してね。邪魔だったから袋からは出しちゃったけど」