Feather (ページ4)

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「それより俺怒ってんだけどね、Aちゃん」
「え、なんで？」
「今日は一緒にここに来ようって話してたじゃん」
「…あっ」
「もしかして忘れてた？俺との約束なのに？」
「…ごめんね。忘れてたわけじゃないんだけど」
「…ねーえ。一軍とかそんなくだらねぇこと気にしないで、もっと俺と関わってよ。俺がAちゃんと仲良くしたいって思ってんだからさ、周りの意見とかどうでもいいって」

「マジでくだらねぇ、何がカースト制だよ」、田中くんがそう言うと、ミケちゃんは田中くんの腕の中からぴょんと抜け出す。

ミケちゃんは元々野良猫だからか、自分の気が済むとこうしてまたふらりとどこかへ行ってしまう。
こういう時のミケちゃんはしばらく戻ってこない。そのパターンを知っている田中くんは「…帰ろっか」と立ち上がるから、私も土管の中を抜け出して立ち上がる。
スカートの裾をぱんと手で払い土埃を落とすと、「Aちゃん」と私を呼ぶ田中くん。

「あいつの面倒いつも見てくれてありがとね」
「ううん、そんな全然だよ」
「俺部活で遅くなるし、来れない時もあるからさ。マジで助かってる。本当にありがと」
「…田中くん、今日はどうしたの？」
「なんで？」
「…なんか、落ち込んでるように感じたから」

きっと気のせいじゃない。
田中くんが落ち込んでる時の独特の癖をきっと田中くん自身は知らない。
伏せがちな目を揺らして笑う。それが彼が落ち込んでる時の癖だ。
それを指摘したらきっと田中くんは直してしまうから言わない。知ってる人だけが知っていればいいと思う。