番外篇2 ページ44
『あそこのケーキ屋さん分かる？』
『分かるけど、それがどうしたの？』
井戸端会議。彼女達はとあるお店と1人の女の名前をあげる
『そのお嬢さんに子供が出来たんだって
しばらく店を閉めていたかと思ったら、産んでたらしいのよ』
小声で話しても、声が高いから聞き取りやすい
『でも彼女って、結婚してないわよね？』
『そうなの！だから父親が分からないのよ』
それ以上は聞きたくなく、再び歩みを進める。しばらくすれば、周りに春の花が咲いている店に到着した
あれから季節が一周と少し、寒い冬から暖かい春に変わる。彼女から吉報が届いたのは、紅葉が鮮やかに染まる秋頃だった
『銀さん、来てくれてありがとう』
入って、と中へ誘われる。二階の自宅に入れば、一生懸命張り上げようとする泣き声が聞こえた
『あー、どうしたの？』
大丈夫と抱き上げてあやす。既に母親としての彼女がそこにいた
『父親のこと、誰にも言ってないんだな』
『知ってるのは銀さんとお妙さんだけ……あと、父親本人ね』
周りから良くない噂が囁かれていることに気付いているのか、眉を顰める。それでも腕の中の赤ん坊が笑えば、たちまち笑顔に変わった
『そっくりだな、アイツに』
『そうなの。その内バレちゃうんじゃないかって……』
クスっと笑うAは薄い栗毛の髪を優しく撫でる。すると赤ん坊を俺に差し出し、抱いてやってくれと言われてしまった
『何か、壊れそうだな』
直ぐ散ってしまいそうな命がそこに宿っている。親が命を懸けてまで護りたくなる気持ちが、少しだけ滲み込んだ
『彼も同じ事言ってた。俺が絶対護るって……
この子が大人になって、父親の事を聞いて来た時に、自分が胸を張って名乗り出られるようになるつもりらしいの』
嬉しそうに口元を緩め、赤ん坊も楽しそうに笑う
『ダメな父親でも、父親なのに……』
寂しそうに呟くが、悟られまいと飲み物を用意すると言って台所へ向かった。俺は赤ん坊に向き直り、語るように話し始める
『お前の母親はすげーぞ
美味いケーキを作るんだ。だからお前も食えるようになったらいっぱい食わして貰え』
俺の髪を引っ張り、楽しいのかはしゃいでいる。手を離せば、俺の指を小さな手で握った
『あと、お前の父親性格は悪いけど、根っこは優しい奴だ
アイツみたいにドSになるなよ？ 俺みたいに優しくねェと女にモテないからな』
話し終わった所で、彼女が帰ってくる。幸せそうで本当に良かった
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ハル(プロフ) - 銀皐月さん» いえいえ！感想ありがとうございます。これからも応援してくださると嬉しいです。他の作品でもお会いしましょう！！ (2017年1月7日 15時) (
レス) id: b9da46096e (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - 番外編作っていただきありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2017年1月3日 11時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルさん» 番外編の銀ちゃん切ないですね…私切ない系すぐ泣いちゃうんで危なかったです(笑) (2017年1月3日 11時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» いーえ（＾＾）いつも応援感謝してます (2017年1月3日 9時) (レス) id: 5f6b32c62c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ものさん» 出そうかなーと考えてる新作には一応メインとして銀さんを出す予定ではあります！でもそれは恋愛小説ではないので、ドキドキさせることができないのが残念です…。ものさん、ありがとうございます (2017年1月3日 9時) (レス) id: 5f6b32c62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時：2016年11月22日 21時
