【銀魂】エ ン ヴ ィ ー 彼 氏

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『痛いの？』

『うん、少し……』



本当は相当痛いのに、彼女は苦笑いで誤魔化そうとする。「下駄は慣れないからね」と言い訳をし、再び足を進めようとした。




『……もう帰る？』

『まだ、来たばっかりだよ』




もう少しだけ、とせがんでは俺の腕を引っ張っる。

しかし、なかなか動かない俺を怪訝そうな顔で見上げた。




『また来年、来ればいいでしょ？』




そのまま彼女の膝裏に手を入れて抱き上げる。
きっと浴衣はおぶれないから、こうするしかない。


急に浮いたことに驚いたAは「ちょっと」と言いながら暴れてしまう




『動かないでよ、歩けないじゃん』

『いや、歩かなくていいよ！』




降ろしてくれと言われても降ろしてやらない。
周りの視線が刺さる中、俺は平然と歩き始めた。



Aは真っ赤に染まった顔を掌で隠していたかと思えば、俺の肩口に顔を埋める。先ほど食べていた綿菓子の匂いがして、その甘い匂いが俺の鼻腔をくすぐった。




『来年は、普段着で行く』



不貞腐れたように呟くから、思わず笑みが込み上げてしまう。それが癪に障ったのか、彼女はもっと頬を膨らませる。




『来年も浴衣で来てよ、似合ってるし……』




それに痛くなったら、こうして帰ればいいでしょ？





Aは俺の言葉に何も返事をしなかったが、首を振らない辺り「いいよ」ってことなのかもしれない。


空に打ち上がる花火ですら目に入らないほど、俺は彼女に夢中だった。

彼氏:桂小太郎 友情出演:坂田銀時→←2

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