【銀魂】エ ン ヴ ィ ー 彼 氏

彼氏:山崎退 友情出演:土方十四郎 ページ19

彼氏:山崎退
友情出演:土方十四郎






『見て、土方くんだ』

『本当だ！ 今日もカッコ良すぎて眼福だよ〜』




女の子たちの黄色い声。視線の先には黒髪の彼。
特に彼女たちの言葉には興味がないのか、ただ横を通り過ぎていく。


私の彼氏の友達なため、一応私とも面識があった。だから隣にいる退に話しかけようと顔を上げれば、彼は「ん？」と私を見つめ返す。



土方くんと違って童顔で、アホ面。そう言うときっと悲しんじゃうから、別の話に切り返した。




『土方くんって、カッコイイんだね』

『え？』




土方くんはカッコいい。これは誰もが口を揃えて言う言葉だ。確かに二枚目だと思うし、それは素直に頷ける。


しかし退だって分かっているはずなのだが、口をもごもごとさせてから「そうだね」と力の無い声で呟いた。




『おい、山崎』




私たちの視線に気付いた土方くんは、退に用があるのか近づいて来る。しかし退は返事もせずに私と彼を交互に見ていた。


それを不審に感じた土方くんが、「どうした」と私に聞く。




『土方くんの話をしてたの』

『あ？ 俺の？』

『うん。カッコいいねって』




そうだよね、と退を見れば彼は小さく頷いた。しかし不意に私の腕を引いて、土方くんとの距離を開けてしまう。

どうしたのかと思うも、退は私の腕を掴んで離さない。



土方くんは何か気付いたのか、面倒臭そうに頭を掻いた。




『……あ、でもね』




途中で絶たれた土方くんがカッコいいという話を再開し、私は退の腕に自分のを絡める




『土方くんもカッコいいけど、退が一番カッコいい』




「だよね？」と退を見つめれば、彼は照れたように視線を外して口元をポリポリと掻く。帰ろうとして彼の腕を引いていけば、角を曲がってすぐにしゃがみこんでしまう


どうしたのかと思い、隣にしゃがむと彼は恨めしそうな目を私に向けた。




『ああいうの、反則。心臓がもたないよ』




真っ赤に染まった顔は、とても可愛い。









『ナニコレ。俺が振られたみたいなんですけど』

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