【銀魂】エ ン ヴ ィ ー 彼 氏

彼氏:坂本辰馬 友情出演:坂田銀時 ページ18

彼氏:坂本辰馬
友情出演:坂田銀時





『あんの天パ野郎ー！ もじゃー！！』

『なんか地味に俺にも刺さるからやめてくれね？』




隣で私の空になったグラスに麦酒を注ぐのは、バカと同じ髪を持つ銀時だ。それを勢い良く飲み干せば、くらりときて彼の肩に寄りかかってしまう。


何も抵抗されなかったから、甘えて彼の肩に額を擦り付けてはぐずった。




『もー、こちとらキャバクラから連れ帰すために彼女やってるんじゃないもん』

『それ今日で30回目』




しつこいと言いたげに耳をほじくるが、何度でも言いたくなるものである。




『……なら俺にするか？』




「同じモジャでも、大分マシだと思うけど」と酒を煽りながら銀時は呟く。思わず顔を上げて彼を見れば、私から顔を逸らして頭を掻いた。




『えっと……』




声が出ず、ただパクパクと口を開け閉めすることしか出来ない。そんな私の頭に、何やら重たいものがのしかかる。




『なーにしちょるんかお二人さん』




いつもより地を這うような低い声。でも結局は安心してしまうその声の持ち主は、私の彼氏である辰馬だ。


彼の目は真っ直ぐ私を見つめており、逸らしたいくらい怖いのに、どうしてか見つめ返してしまう。




『楽しそうじゃなか』

『……辰馬も、楽しかったでしょ？』




「キャバクラ行ってさ」と零して机の上にうつ伏せた。今日はもう嫌になって迎えに行かなかったのである。

しかしこの場所は教えてないはずなのに、どうしてバレてしまったのか




『楽しかったに決まっちょるじゃろ！』




「ガハハハ」と大きく笑う辰馬。目には涙が滲んできて、視界をぼやけさせてしまう。





『……でも、やっぱりAがいないと物足りないぜよ』





その言葉に顔を上げれば、彼の目がサングラスの下から見える。瞳は優しくて……自分が彼に想われていることが伝わった。




『ほれ』




手を広げる彼の胸の中に恐る恐る顔を埋めると、強い力で抱きしめてくれる。彼じゃなきゃ、本当にダメみたいだ。

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