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夕方、大学終わりに志賀さんと待ち合わせた公園に向かう
秋晴れのとっても気持ちいい日だ
最近日が短くなってきて、夕方は特に、季節の移行を感じる
クローゼットの奥からコートを引っ張り出してきたい気分だ
ちょっと早いけど
公園に着くと、待ち合わせのベンチに座って文庫本を読みながら待ってくれている志賀さん
「志賀さん、お待たせしちゃってすみません」
「あなたちゃん」
志賀さんは手をよっと上げて
読んでいた本をカバンにしまった
「お待たせしちゃいましたね」
「全然、まだ約束5分前だよ。俺が好きで早く来てたんだ」
「早く来るのがお好きなんですか？」
「んー、まあね、そうだね、約束に早く来て、相手が俺のこと見つけてくれる感覚は好きだね」
「へ〜！それは考えたことなかったです。
それで何読んでたんですか？」
「志賀直哉」
「志賀さんが志賀さん読んでたんだ」
「そう」
志賀さんはにっこり笑うと、
カバンからスケッチブックと素描用画材を取り出す
今日はよろしくお願いします、と言って
次に、ポケットから出してきたのは綺麗な石の付いた指輪だ
私の左手を取ると
私の薬指に指輪を通そうとしてハッとする志賀さん
「あなたちゃんごめんごめん、なんか俺が付けるのって変だよね、これ、薬指に付けてもらってもいい？？？」
「あ、はいっ、かしこまりました」
「ははっ、なんか日本語が過度に丁寧になってるよ」
「なんか、ちょっと焦りました」
「うわ、モデルさん緊張させちゃうとはなかなかの三流だよね俺」
「全然っ」
ビックリした
先日、夕飯を食べた後、ご足労おかけしちゃったので志賀さんにお詫びをしたいと申し出たところ
手を描く仕事があって、モデルをお願いしたいと頼まれた
沢山の手を描くらしい
ゴツゴツした手、子どもの手、華奢な手、猫の手、白い手、黒い手、既婚者の手
私が仰せつかったのは、婚約者の手
婚約者というのは別に志賀さんの、という意味ではなくて、ジェネラルスピーキングで「左手の親指に指輪をはめた婚約している女の手」といったところだ
まあ、明らかに私は志賀さんの女ではない
婚約者どころか、彼氏もいない
というかこの前まで彼氏いたクセに処女の私は少し不貞腐れながら
同時にドキドキしながら薬指にリングを通した
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playg(プロフ) - さきもとさん» コメントをありがとうございます。志賀さんの紳士的な面や、芸術に傾倒する知的な部分に惚れ僭越ながら書かせていただきました。読みにくいところもあったかと思いますが、読んでくださるさきもとさんはじめ、皆さんのお陰で完結いたしました。感謝感謝です！ (2018年9月30日 16時) (
レス) id: 45c3b09e14 (このIDを非表示/違反報告)
さきもと(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。アクリラ完結おめでとうございます、そして最終話まで執筆お疲れ様でした。QKタグ検索にてこちらの連載を見つけ素敵なお話だなとドキドキしながら読ませて頂きました。拙い感想ですみません、改めまして完結おめでとうございます。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: eac32ad90c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JBplay | 作成日時：2018年9月8日 16時
