〔ワートリ〕三輪の従兄弟は､一般人(仮)な薄幸少年１６

『言うなればトリオン怪物』その１ ページ2

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ボーダー本部基地、狙撃手専用訓練場にて、大穴があいた。

一瞬のことだった。


もの凄い轟音と激しい爆風。


あまりにも想定外の出来事にその場にいた全員が、しばらくの間沈黙した。



雨取｢ほ、ほんとうにごめんなさい…っ;;｣


雨取ちゃんは涙ぐみながら震えた声で謝り、床に正座し深々と頭を下げた。


[え!?;;]

雨取｢壊した壁は一生かけてでも弁償しますので…｣

佐鳥｢Σなっ、え、こちらこそ!!;;｣


パニックになった賢も慌てて土下座し、続いて俺も雨取ちゃんの隣で土下座した。


[いや、雨取ちゃんは悪くありません…!!

この子がとても優れたトリオン能力の持ち主であるって知っていたのに、
こうなることに気付かず止められなかった俺の責任ですっ!!;;

だから、罰なら俺が…!!;;]

雨取｢泡渡先輩…っ｣


東｢２人とも頭上げなよ｣


東さんの言葉に俺と雨取ちゃんは、土下座の姿勢はそのままに顔をゆっくりと上げる。


東｢大丈夫、訓練中の事故だ。

責任は現場監督の佐鳥が取る｣

佐鳥｢Σひええ!?;; 東さん!?;;｣

[…;;]


東さんは壁を壊した責任を、さらっと容赦なく賢に丸投げ。
賢が青い顔して悲鳴を上げた。


東｢…君は本部の隊員じゃないな。トリオンの測定記録がない。
その肩のエンブレムは…｣

雨取｢…玉狛支部の雨取千佳です……。

あの……私のせいで、玉狛の先輩や…泡渡先輩が怒られたりとかは……｣

東｢しないしない。責任は全て佐鳥にある｣

佐鳥｢ですよね!!やっぱり!!;;｣



あ。賢、ちょっと泣いてる……;;



鬼怒田｢なんだこれは!! 一体どうなっとる!?｣

雨取｢っ………!!;;｣

[Σげ…;; 鬼怒田開発室長……;;]



訓練場に聞き覚えのある怒鳴り声が響く。

騒ぎを聞き付けた鬼怒田開発室長さんがやってきたのだ。


鬼怒田｢なぜ穴が開いとるんだ!? 誰がやった!?｣

佐鳥｢鬼怒田開発室長。訓練中にちょっとした事故が起きました｡
責任は全て現場監督のボクにあります｣

[賢…っ]


雨取ちゃんと俺の前に庇うように仁王立ちした賢は、いつのまにかさっきまでの焦りは消えていて真剣な顔つきでそう告げた｡

今まで見てきた中で一番格好よく見えた……―――



鬼怒田｢その通りだ!!｣


((ドスッ


佐鳥｢Σ痛っ……くない!!;;｣

鬼怒田｢防衛隊員が基地を壊してどうする!?｣

佐鳥｢あれえ〜…これが正解じゃないの……?;;｣


―――………気がした、んだけど｡

気のせいだな…たぶん;;



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