『最期』その３ ページ12
―
[ッ…、ぐ……ぁ………]
―――…痛い……どころじゃ、ないな……これ…ッ…
あまりの激痛に意識が朦朧とし、呼吸をするのさえ苦しい。
俺は膝をつき、歯を食いしばりながら気が遠くなるような痛みに耐える。
背中の傷口はそれなりに深いものなのか、流れ出ている血はしばらく止まりそうになく…
降り積もった真っ白な雪を、次々と赤く染めていった。
[はぁ……こんっ、にゃろ…ッ!!]
ろくに力が入らず震える足を踏ん張り、なんとか振り返って、
先ほど脱いで手に持っていた自分のコートを、斬りつけてきた背後のモールモッドへと投げつけた。
((バサッ
至近距離で投げつけたため、中央の目玉のような部分にうまく引っ掛かり、
順序は多少狂ったが…敵に目隠しをすることは成功した。
すると視界を遮るコートを取ろうとしているのか、モールモッドは前肢を動かしたり、体全体を揺らし始めた。
[はっ、……はぁ……ナイスヒット…俺……、…ぅ゛…]
四郎｢か……かぐ…おにぃちゃ…っ｣
[…四郎君…怪我、は……ない?]
四郎｢ぇ、…ぅ…うん……ぼ、僕は、へいき…｣
[…ソウヤ…さんは…?]
四郎｢ぁ、えっと……毛が長くてよくわからないけど、たぶんへいきだと…思う｣
((ワフッ
[はは、は……;; なら良かっ…た…。
…四郎君、さっき……俺が…言ったこと…おぼえて、る…よね?]
四郎｢えっ、ぅ…うん｣
[…よし…っ、じゃあ……。
……ソウヤさんと…今すぐ、逃げて]
四郎｢ぇ…｣
目の前のモールモッドはまだ俺のコートと格闘中っぽいし、後方のモールモッドからは少し距離がある。
逃げるなら、たぶん…今しかない。
[いいから、逃げて………俺は…だいじょぶ…っだから……。
…逃げて、…早くッ…!!]
四郎｢っ…!!｣
四郎君は切羽詰まった俺の怒鳴り声にビクリと肩を震わせ、
不安そうな顔をしながらもソウヤさんのリードを掴んで走っていった。
[…はぁ……、っ…いﾞ……]
ぐらりと視界が揺れ、俺は雪の上へうつ伏せに倒れ込んだ。
ついには体の感覚も鈍くなってきて、雪の冷たさも感じられない。
((ギュイィィィン
いつの間にか目隠しは外れていたようで、２体のモールモッドは倒れた俺のすぐ近くへとにじり寄ってくる。
動かなければ、きっと殺されてしまうと分かってはいるが…
そんな考えとは裏腹に、重たい体は言うことを聞かず
もう指一本も動かすことが出来なかった。
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platinum.wolf - 田中さん» コメントありがとうございます!! そう言って頂けて嬉しいです(´ω｀＊) これからも頑張って続けていきますので、どうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2016年9月14日 21時) (携帯から) (
レス) id: e1623afd53 (このIDを非表示/違反報告)
田中 - 続きが楽しみです！ いつも楽しみに読ませてもらってますヾ(o´∀｀o)ﾉ (2016年9月11日 17時) (レス) id: c47e427da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：platinum.wolf | 作成日時：2016年8月25日 19時
