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兎にも角にも、脱出しよう。
そうしなければ今にも折れかけている腕が
無惨な姿になってしまい病院送りになる。
焦る心境を隅に追いやって、
今の状況からどのようにして
脱出すべきかという点について思考を巡らせる。
「これ、お兄さんの…だよね」
レッドは自分とは違い、
無口だが表情筋が豊かなトレーナーであった。
目の前の彼は、片手にその帽子の鍔を持ち、
穏やかに笑ってそう言う。
やはり離してはくれないらしい。
だが先程よりマシになった気がした。
彼の問いに(疑問符が付いていないのは見てみぬ振りをしておくとして)イエスの意を込めて頷く。
彼はパァッと、効果音がつきそうなほどに笑顔になると
「返してほしい…?」
と照れ臭そうに言った。
うーん。悪い予感がするぞぅ…
まぁ彼のピカさんには言っておいたからな。
約束は約束だ。
『明日の早朝…本気。暫し預かれ』
見つめて言うと、彼の瞳は黒い筈なのに
赤い炎が燃え盛っていく。
「…!!」
「ピッカ!!」
光ある彼らは帽子を持って
足速にこの場から去って行った____
嵐が過ぎ去った後のアローラナッシーの気持ちが
よく分かった気がする…
ぼんやりと考えながら俯せの体を仰向けにして、
天井へと腕を伸ばす。
利き手じゃ無い方を掴むのは、やはりバトル好き故なのか
…そこにはくっきりと青い手形が残っていた
『…』
「ミ"」
明日は早くに出る。最大の準備をしておいてくれ。
伝えれば彼は快く承諾して、
他二体にも話してくれていた。
はぁ、と滅多に吐かない溜息を吐いて
再び暗闇に閉じ籠った。
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メガサーナイト大好き - とても面白かったです!!私はとても好きな系統、ゲームの主人公やレッドさんが出てくれるのはとても嬉しいです。スグリ君ゼイユちゃんから先生呼びも良い!!伝説の旅人もかっこいい!!更新頑張ってください。応援しています。 (1月31日 8時) (レス) @page12 id: 6b6e4cd4ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ござるぅ | 作成日時:2023年12月31日 0時