ムックル ページ37
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荒れた抜け道に生息していたズバットとコダックを倒しながら出口へ。
急に明るくなり目が眩む。
視覚が正常に戻り見えた光景は、少し小さく見えるコトブキシティ。そして、先程まで歩いて来た道。
「こういう光景を撮りたかったんだ……!」
首に掛けていたカメラを構える。
ピントを合わせてパシャリと写真を撮った。
出来映えを見ようとカメラを操作し、写真を見た……が。
「……あれ」
何か右上に変なものが映っている……。
何だろう……と考えたが、その”変なもの”の正体はすぐに判明した。
「!」
バサバサと翼を羽ばたかせる音。
上を見上げると、可愛らしい鳥ポケモンが不思議そう首を傾げてこちらを見下ろしていた。
えっと確かこのポケモンは……『ムックル』だ。今まで戦ってきたトレーナーが持っていて、何度も見た。
羽を休めるようにと腕を出すと、ムックルは何の疑いもなく腕に止まった。
「……この子、野生のポケモンだよね?」
暢気に私の腕で毛づくろいを始める始末。警戒心薄くないですか……。
ムックルについて見てみようと図鑑を開く。
……ふむふむ、普段は群れで行動しているポケモンのようで、それぞれの弱さを互いにカバーし合っているようだ。
あと、鳴き声がとてもやかましいって書いてあるんだけど、ちょっと失礼じゃない?
「ね、ねぇムックル。群れに帰らなくていいの?」
いつまでも帰る素振りのないムックルに苦笑いを零す。
隣でムックルを見上げているコリンクもジト目で、ちょっと呆れている。
そんなコリンクを見て更に苦笑いを零してしまった時だ。
お腹の鳴った音が聞こえたのは。
「……お腹空いたの?」
明らかに私の腕に止まっているムックルから聞こえたので、そう尋ねてみると元気よく返事した。
うっ、た、確かにうるさい……。更に近距離だから鼓膜が……。
「よしよし。だったらきのみをあげるよ」
バッグの中から適当なきのみを取り出し、差し出すと嬉しそうに啄んだ。
……この子、本当に野生のポケモンだよね?人慣れし過ぎていない?
そう思っていると、ムックルの鳴き声らしきものが遠くから聞こえた。
そこを振り返ると数羽のムックルが群れになって飛んでいた。あ、確かムックルは群れで行動してるんだっけ。
「ほらムックル。あれ、君の群れじゃない?」
そう問いかけたが、ムックルは群れを見た瞬間プイッと目を逸らした。
見えた表情は、どこか怒りを含んでいるように見えた。
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恵野(プロフ) - 羽月さん» コメントありがとうございます! あ、匂わせに気づいちゃいましたか? 続編の方でちょっとしたヒントを出す予定なので、宜しければどんな過去があったのか予想してみて下さい! (2021年10月9日 23時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
羽月(プロフ) - え、もうめちゃくちゃ好きです!主人公は過去に何かしらあったんだなぁ程度の匂わせで、すぐには公開しないところがめっちゃ好きです! (2021年10月9日 23時) (レス) @page50 id: 9c44afdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 黄桃さん» コメントありがとうございます! 完結なんて何十年後になるやら……(遠い目) これからもこの作品をよろしくお願いいたします…! (2021年10月9日 19時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - この作品大好きです!完結するまで一生見ます! (2021年10月9日 14時) (レス) id: 5438a1cd42 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 恵野さん» 分かりました。お休みなさい。 (2020年3月31日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恵野 | 作成日時:2020年2月17日 22時