ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ14)

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「Aもいい歳だからね。
えっと、ダイゴが25だからAは……」

『27』

「そうそう」

27歳ともなれば親としてはそろそろ結婚しないのか、と聞きたくなる頃合いかもしれない。
しかしながらAはポケモンの事が大好きで、日々研究に明け暮れている。
このままではいつかポケモンと結婚してしまうのではないかと思うほどだ。

『でもそれを言うならミクリだって。
私だけ結婚しろって言われるのは筋違いじゃない？』

「私は……ねぇ？」

はぐらかすように笑う。
この男は……と思わず拳を握った。
ミクリにも姉がいて、その姉は結婚していてもう既に可愛い娘さんもいる。
ミクリが"叔父さま"と呼ばれるところを初めて見た時には、あまりの似合わなさにAも思わず笑ったものだ。

「姉貴の場合はそのポケモンの為に放浪する癖を受け入れてくれる人じゃないと無理だろうね」

『アンタこそ石への愛も丸ごと受け入れてくれる人じゃないと無理でしょうね』

「お前達は苦労しそうだな」

「『それはミクリだって』」

なんだかんだ似た者同士で思わず笑う。
三人の出会いはまだ新人トレーナーだった頃。
Aとミクリはジムに挑戦する過程で出会い、ダイゴとミクリはダイゴがルネジムに挑戦した際に出会った。

新人トレーナーの頃の縁が今もこうして続いて、お酒を飲んで愚痴をこぼして、冗談を言い合える良き友となっているのだから、人の縁とは不思議なものだ。

『でも…たとえ結婚したとしても、こうして三人で飲みに行けたら楽しいよね』

「「……。」」

へにゃりと、ゆるゆるの笑顔を見せる。

確かに、ずっとこの関係を続けていけるのならとても幸せなことだろう。
多くのことが変わっていく中で、変わらないものがあるというのはとてもかけがえのないことで……素晴らしいことだ。

「随分と、可愛らしいことを言うんだね」

『うーるーさーいーでーす〜。
私、ちょっとお手洗い行って来るね』

べーっ、と舌を出しながら席を立つ。
その足取りは軽い。
あんなに勢いよく飲んでいたのに…まだまだ余裕といったところか。
思わず二人は顔を見合わせて笑った。